ロッテ角中勝也外野手(33)が調子を上げている。5日現在、打率は3割8分5厘。規定打席到達はまだ遠いものの、直近でスタメン出場した7試合のうち、5試合でマルチ安打を放っている。
4日はZOZOマリンで打撃練習などに励んだ。「シーズン終了までこの成績だったらさすがに好調ですけど、まだ、言っても始まったばかりですからね」と淡々と話した。
石垣島では2軍キャンプで打ち込んだ。福浦2軍ヘッドコーチからもアドバイスを得ながら調整を進めてきた。1番荻野から4番安田までの流れが固まりつつある中で、5番打者としてチーム屈指のバットマンが安打を量産できれば、チームにとっては大きい。
今季はヘルメットのつば裏に、チェックポイントをメモしているという。「自分は忘れっぽいので。ネクスト(バッターズサークル)とかでパッと見られるので」。12年と16年に首位打者を獲得。今も工夫を重ねながら成果を生んでいる。
ロッテ新外国人エチェバリアは遊撃出場が基本線になりそうだ。
2日までの楽天3連戦ではエチェバリアが2試合、藤岡が1試合に遊撃スタメンで出場した。井口監督は「戦略も含めて、どっちでいくか決めながらやっていきたい」と併用をイメージ。この日は打撃練習などで汗を流した新助っ人は「どんどん出場すればもっといいプレーができる」と意欲的だった。
ロッテは4日、1軍登録メンバーがZOZOマリンで全体練習を行った。日本ハムに新型コロナウイルスの陽性判定者が多く出て、3〜5日の3連戦が中止になった(代替日程は未定)。
この日、投手陣はセ・パ交流戦を見すえてのバント練習やキャッチボールなどで調整。野手陣はランメニューやフリー打撃などを行った。
安田や山口は特打、井上や岡はロングティー、高部は盗塁のスタート練習など、個々の課題にも向き合いながらの練習になった。
井口資仁監督(46)は「ちょうど6連戦のあとだったので、ずっと出ている人は体のコンディショニングプラスうまく調整を」と説明。「若手はまだまだ結果が出ていない選手がいっぱいいるので、その中で打ち込みをして、また金曜からいい形で」と、7日からのオリックス3連戦(ZOZOマリン)を見すえていた。
ロッテは4日、石川歩投手(33)の通算1000投球回達成の記念グッズを受注販売すると発表した。
ラインアップは証明書付き直筆サイン入りフォトパネル(29個限定)、フェースタオル、Tシャツなど。球団オンラインストア限定で9日まで販売する。発送は6月下旬以降の予定。
プロ8年目の石川は4月27日の西武戦(メットライフドーム)で同記録を達成した。
ロッテの井口監督は4日、日本ハムに新型コロナウイルスの集団感染が判明した影響で3日からの3連戦が中止となったことを前向きに捉えた。4月27日から9連戦が組まれていたが、前日の5月3日は休養日に充てるなど余裕が生まれ「ずっと出ている人はうまく調整してくれたら」と話した。
4日にZOZOマリンスタジアムでの全体練習を再開し、山口ら若手がフリー打撃などで精力的にバットを振り込んだ。次戦は7日のオリックス戦。井口監督は「いい形でできるように。若い選手は何とか結果が出るようにしていきたい」と言葉に力を込めた。
ロッテは4日、マリーンズオンラインストア限定で石川歩投手(33)のプロ通算1000投球回達成を記念したグッズの受注販売を開始したと発表した。5月9日午後11時59分まで受注。価格は全て税込。
石川は4月27日の埼玉西武戦(メットライフ)に先発し、4回に記録を達成した。商品は以下の通り。
商品の到着は6月下旬から7月上旬を予定している(直筆サイン入り商品は7月下旬から8月上旬を予定)。生産の状況により、到着日が前後する可能性あり。
ロッテが4日、千葉市美浜区のZOZOマリンスタジアムで練習を行った。当初は5月3、4、5日に本拠地で日本ハム3連戦だったが、コロナ禍で延期となったため、練習に切り替わった。
練習は午前9時から約3時間半。フリー打撃と守備練習などが並行して行われた。最後は安田尚憲内野手(22)、山口航輝外野手(20)らが特打で汗を流した。
チームは2日の楽天戦(楽天生命パーク)まで6連戦だった。3月は開幕5連敗を喫したが、4月の26試合を14勝8敗4分と巻き返し、5月は1勝1敗。選手の動きを追った井口資仁監督(46)は「6連戦の後だったんで、ずっと出ている人は体のコンディショニングプラスうまく調整して。若手はまだまだ結果の出てない選手がいっぱいいるんで、打ち込みだったり」と話し、若手のレベルアップに期待した。
ロッテが石川歩投手(33)の通算1000投球回達成を記念したグッズの受注販売を開始した。
9日までマリーンズオンラインストア限定で、商品一覧は次の通り。
マリーンズオンラインストアで9日午後11時59分まで受注し、6月末〜7月末に配達を予定筆サイン入り商品は7月末〜8月末)。
プロ8年目の石川は先発した4月27日の西武戦(メットライフドーム)の4回に通算1000投球回に到達した。
球団広報室は「ファンの皆様もぜひこのグッズをお買い求めいただき、これまでの石川選手の活躍を振り返っていただけたらと考えています」とコメントした。
ロッテは4日、石川歩投手(33)のプロ通算1000投球回達成(4月27日・西武戦)を記念したグッズの受注販売をマリーンズオンラインショップで開始した。
発売されるグッズは
5月9日23時59分まで受注し、商品の発送は6月下旬〜7月上旬(直筆サイン入り商品は7月下旬〜8月上旬)の予定。購入方法など詳細は球団HPで。
ロッテのアデイニー・エチェバリア内野手(32)が4日、チーム最年長となる鳥谷敬内野手(39)の“金言”を励みに、シーズンの活躍を誓った。
「7番・遊撃」で初出場した4月30日・楽天戦(楽天生命)。イレギュラーバウンドをはじいて、いきなり適時失策を犯してしまった。メジャー時代に正遊撃手として活躍した守備の名手もさすがに落胆したが、試合後に励ましてくれたのが鳥谷だったという。
阪神時代、遊撃で4度のゴールデングラブ賞を受賞しているベテランから「落ち着いて。まだ1試合だから。これから慣れていきな」とアドバイスされたことを明かしたエチェバリア。翌日の試合は気持ち切り替えて前向きになれたという。
この日の全体練習ではショートで鳥谷とともにノックを受けた。「どんどん出場していけば、日本の野球に慣れていくと思う」とエチェバリア。苦い経験を癒やしてくれた“先輩”のためにも攻守で状態をあげ、チームの力になる。
ロッテは4日、日本ハム戦が延期になったことを受け、ZOZOマリンスタジアムで全体練習を行った。
野手陣は打撃練習で打ち込み、主将の中村奨はロングティーなどで体を動かした。山口は居残り特打を行い、それぞれがテーマをもって調整した。
ゴールデンウィーク中に異例の調整となったが、井口監督は「まあでもいい。ちょうど6連戦のあとだったので、ずっと出ている人は体のコンディショニングプラスうまく調整をして、まだまだ結果がでていない選手もいる。その中で打ち込みだったりしていきたい」と、今後も3連戦中止期間をプラスに捉え、調整していく考えを明かした。
ロッテは4日、マリーンズオンラインストア限定で5月9日まで、石川歩投手のプロ通算1000投球回達成を記念したグッズの受注販売を開始したと発表した。石川は4月27日の西武戦(メットライフドーム)に先発登板し4回に記録達成した。
商品一覧は次の通り(価格は全て税込)
ロッテ広報室は「プロ8年目、毎年、先発ローテーション投手として投げ続けて投球回数を積み重ね、ついに1000投球回数まで到達しました。彼のプロ初登板初先発、マリンでの初勝利はつい昨日のことのように感じます。ファンの皆様もぜひこのグッズをお買い求めいただき、これまで
の石川選手の活躍を振り返っていただけたらと考えています」とコメントした。ロッテのマーティンと安田尚憲が打点を挙げると、今季1度も負けていない。
今季、マーティンと安田がそろって打点を挙げた試合は、4月29日の西武戦を含めて7試合ある。今季初めてそろって打点を挙げた試合は、今季チーム初勝利となった4月1日の楽天戦。0−0の初回にマーティンが先制ソロを放てば、安田は2回に満塁の好機で走者一掃の適時二塁打を放つなど5打点の大暴れ。翌2日の日本ハム戦も安田が先制の適時二塁打を含む4打点、マーティンも2試合連続となる第3号本塁打を放った。4月7日のオリックス戦は1−1の3回にマーティンが勝ち越し適時打を放つと、3−2の7回にマーティンのソロ、安田の2ランが飛び出した。
直近では4月29日の西武戦、0−0の初回先頭の荻野貴司が四球で出塁すると、2番・マーティンがライトスタンド中段に今季第10号となる先制の2ランを放つ。4−2の5回は先頭の荻野がライト前に安打を放ち、1死後、3番・中村奨吾がレフト線の二塁打で二、三塁とし、4番の安田がきっちりとセンターへ犠牲フライを放ち、今季29打点目となる打点を挙げた。試合は5−2で勝利した。
29日の西武戦はチーム5得点だったが、その他の試合はマーティンと安田がそろって打点を挙げれば6得点以上奪っている。彼らが打点を量産できる背景には前後を打つ1番・荻野貴司、3番・中村奨吾の出塁、さらには1つ先を狙った走塁によるところも大きい。
今季はここまで開幕からマーティンと安田がそろって打点を挙げた試合は、7戦負けなしだが、実は昨年の8月8日のオリックス戦から現在16連勝中。それどころか、マーティンと安田が揃って打点を挙げた試合は、公式戦通算17勝1敗と大きく勝ち越している。
打線においてポイントゲッターであるマーティンと安田が打点を挙げれば、投手との兼ね合いもあるが、それだけ勝率が高くなるということだろう。こういった“不敗神話”はいつかは途切れるものだが、2人揃って打点を挙げて勝利する試合を1試合でも多く増やしたいところだ。
ロッテの唐川侑己投手は2007年の高校生ドラフト1巡目で指名を受けて以来、マリーンズ一筋13年の現役生活を送ってきた。地元・千葉県出身ということもあり、若手時代からファン人気も高い唐川。早くから1軍の舞台で台頭して将来を嘱望されたが、その後は相次ぐケガに苦しみ、なかなか本来のポテンシャルを発揮できない時期が続いていた。
しかし、2018年のシーズン途中に、それまでの先発から中継ぎに転向したことが1つの転機となった。同年には中継ぎとして登板した21試合で自責点1、防御率0.36という抜群の成績を残し、リリーフ適性の高さを示した。2019年はやや安定感を欠いたが、2020年は7月末の1軍昇格以降素晴らしい投球を見せ、勝ちパターンの一角に定着。最後まで離脱することなくフル回転し、チームの上位進出にも大きく貢献した。
喫した失点はわずかに4で、失点を許した試合は3試合だけ。実に32試合中29試合で無失点と、数字の面でもその安定感は際立っていた。FA権を所持していたこともあり、シーズンオフにはその動向が注目されたが、ロッテへの残留を選択。頼れるセットアッパーの残留に、胸をなで下ろしたファンも多いことだろう。14年目となる2021年もここまで15試合に登板し11ホールド、防御率0.57(※5月2日現在)と安定した成績を残している。
今回は、そんな唐川がこれまでに残してきた成績をはじめ、セイバーメトリクスの観点による各種の指標や、2020年のコース別、球種別の被打率といった数字を紹介。各種の成績をもとに、唐川が驚異的な安定感を示している理由に迫っていきたい。
唐川侑己 通算成績 | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年度 | 登板 | 勝 | 敗 | H | S | 投球回 | 三振 | 安打 | 本塁打 | 四球 | 自責点 | 防御率 |
2008 | 15 | 5 | 4 | 0 | 0 | 81.2 | 57 | 102 | 8 | 12 | 44 | 4.85 |
2009 | 21 | 5 | 8 | 0 | 0 | 143.1 | 115 | 145 | 11 | 28 | 58 | 3.64 |
2010 | 11 | 6 | 3 | 0 | 0 | 73 | 51 | 69 | 3 | 20 | 22 | 2.71 |
2011 | 24 | 12 | 6 | 0 | 0 | 168.1 | 122 | 146 | 6 | 35 | 45 | 2.41 |
2012 | 12 | 8 | 2 | 0 | 0 | 84.2 | 32 | 81 | 4 | 15 | 25 | 2.66 |
2013 | 27 | 9 | 11 | 0 | 0 | 168 | 80 | 185 | 12 | 46 | 78 | 4.18 |
2014 | 23 | 4 | 9 | 1 | 0 | 116 | 62 | 146 | 10 | 33 | 60 | 4.66 |
2015 | 12 | 5 | 4 | 0 | 0 | 62.2 | 31 | 78 | 9 | 27 | 44 | 6.32 |
2016 | 15 | 6 | 6 | 0 | 0 | 88.2 | 64 | 84 | 2 | 37 | 28 | 2.84 |
2017 | 21 | 5 | 10 | 0 | 0 | 126.1 | 86 | 135 | 18 | 37 | 63 | 4.49 |
2018 | 25 | 1 | 3 | 4 | 0 | 47.2 | 31 | 43 | 5 | 10 | 15 | 2.83 |
2019 | 40 | 5 | 3 | 14 | 0 | 37.2 | 30 | 47 | 7 | 6 | 22 | 5.26 |
2020 | 32 | 1 | 1 | 14 | 0 | 30.1 | 23 | 22 | 1 | 9 | 4 | 1.19 |
通算 | 278 | 72 | 70 | 33 | 0 | 1228.1 | 784 | 1283 | 96 | 315 | 508 | 3.72 |
まず、唐川がこれまでのキャリアにおいて残してきた、各種の成績について見ていこう。
2010年から2012年、そして2016年と、先発として防御率2点台を記録したシーズンが4度あり、先発投手としても高いポテンシャルを有していたことが分かる。当時は球速こそ140キロ前後ながら、独特の軌道や切れを持ち合わせるストレートを軸に、速球と同じような速度で鋭く変化するカットボール、緩急をつけるカーブやチェンジアップを交え、打者を打ち取っていくスタイルを持ち味としていた。
しかし、相次ぐケガが登板機会のみならず、生命線だったストレートの威力を奪っていくことに。故障の影響で球速がさらに低下したことで、ストレートとの微妙な違いで打者を幻惑する効果を生んでいたカットボールや、軸となる2球種との球速差ありきだったカーブやチェンジアップといった変化球の効果も減少し、打ち込まれるケースも増加していった。
球威が復活した2016年には復活の兆しを感じさせたが、2017年、2018年と2年続けて先発としては結果を残せず。しかし、先述したリリーフ転向によって速球とカットボールがコンスタントに140キロを記録するようになった。新たな持ち場に適応し、再び投手陣の中心的存在の1人となりつつある。
唐川侑己 年度別各種指標 | |||||||
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年度 | 登板 | 投球回 | 防御率 | 奪三振率 | 与四球率 | 被本塁打率 | BABIP |
2008 | 15 | 81.2 | 4.85 | 6.28 | 1.32 | 0.882 | .338 |
2009 | 21 | 143.1 | 3.64 | 7.22 | 1.76 | 0.691 | .307 |
2010 | 11 | 73 | 2.71 | 6.29 | 2.47 | 0.370 | .289 |
2011 | 24 | 168.1 | 2.41 | 6.52 | 1.87 | 0.321 | .275 |
2012 | 12 | 84.2 | 2.66 | 3.40 | 1.59 | 0.425 | .267 |
2013 | 27 | 168 | 4.18 | 4.29 | 2.46 | 0.643 | .295 |
2014 | 23 | 116 | 4.66 | 4.81 | 2.56 | 0.776 | .334 |
2015 | 12 | 62.2 | 6.32 | 4.45 | 3.88 | 1.293 | .317 |
2016 | 15 | 88.2 | 2.84 | 6.50 | 3.76 | 0.203 | .307 |
2017 | 21 | 126.1 | 4.49 | 6.13 | 2.64 | 1.282 | .287 |
2018 | 25 | 47.2 | 2.83 | 5.85 | 1.89 | 0.944 | .270 |
2019 | 40 | 37.2 | 5.26 | 7.17 | 1.43 | 1.673 | .323 |
2020 | 32 | 30.1 | 1.19 | 6.82 | 2.67 | 0.297 | .247 |
通算 | 278 | 1228.1 | 3.72 | 5.74 | 2.34 | 0.703 | .299 |
続けて、セイバーメトリクス的な観点から、各年度における投球を分析していきたい。
先述の通り、唐川は目を見張るほどのスピードボールや、落差の大きい変化球を武器とする投手ではない。そのため奪三振率という点では、若手時代から現在まで高い数値は記録していない。特に2012年は統一球の影響で打球の飛距離が出なかったこともあり、奪三振率3.40と非常に低い数値に。それでも、防御率2.66と投球内容そのものは安定しており、打たせて取る投球が機能していたことの表れと言える。
次は「BABIP」という指標に目を向ける。この指標は、本塁打を除くインプレーの打球が安打となった確率を示すものであり、その特性上、打たせて取る投球が機能していたかを示す数字にもなる。
BABIPは投手自身によってコントロールできる要素が少なく、運に左右される傾向が強い指標とされている。また、特定の期間において平均値の.300から大きく外れる数値となった場合、その後は逆の方向に収束していきやすい傾向がある。ただし、投手の実力が不足しており、痛打を浴びやすいというケースもあるため、あくまで各選手のキャリア平均の値を参考にすべきである、という見方もある。
唐川が記録しているキャリア平均のBABIPは.299。先述した考え方でいえば、これが“基準値”となる。実際、BABIPがこの数値を大きく上回っていた2008年、2014年、2015年、2019年の防御率はいずれも芳しいものではなく、スタイルの通り、味方の守備に左右されるケースが少なくはなかったことがうかがえる。
その一方で、BABIPが.200台だった2011〜2012年、2018年、2020年はいずれも防御率2点台以下と、やはり味方が打球をアウトにしてくれる可能性の高い年の成績は、かなり優秀な数字となっていた。2009年〜2010年、2016年のように、BABIPが平均値付近でも一定以上の数字を残していたシーズンも少なくはないが、2020年に関しては、極端に悪い数字となっていた2019年の反動に近い側面があったかもしれない。
ここで確認しておきたいのが、昨季のロッテのエラー数がパ・リーグ内で最少だったという点だ。チーム全体の投手陣が記録したBABIPも.293と、平均値である.300を下回る数字を記録。昨季のマリーンズが高い守備力を有しており、失点数自体を少なからず減らしていたことが、これらの数字かにも示されているのではないだろうか。
奪三振を狙うというより打たせて取る投球がスタイルの唐川にとっては、2020年のマリーンズは、自身の持ち味を大いに生かせる環境だったということになる。投手のBABIPは年によって変化するものではあるが、この堅い守備が2021年も継続されれば、残留を決断した唐川にとっては、大きなアドバンテージとなるかもしれない。
また、9イニングごとに記録する四球の数を示す指標である「与四球率」では、1点台を5度記録し、平均値も2点台前半と、キャリアを通じて優秀な結果を残している。2015〜2016年は3点台と制球力の悪化が見られたが、この数値もリリーフに回ってからは改善の傾向が出ている。制球難から崩れる可能性が低いというのも、セットアッパーとしては頼もしい要素だろう。
9イニングを投げた際の平均被本塁打数を示す「被本塁打率」においては、良いシーズンと悪いシーズンがはっきりと分かれている。2015年、2017年、2019年と、被本塁打率が1点台を超えるシーズンにおいては、いずれも防御率がかなり悪化していた。2019年は年間わずか6四球と優れた制球力を発揮していただけに、本塁打の多さが防御率の悪化につながったのは否めないところだ。
その点、2020年の唐川は年間を通して被本塁打がわずかに1本であり、88.2回で2本塁打しか許さなかった2016年に次ぐ高水準の数字に。与四球率が過去2年間に比べて悪化しながら防御率を大きく向上させた理由としても、一振りで大量失点を喫する本塁打のリスクが極めて少なく、それによって、1失点が2度、2失点が1度、残りの試合は全て無失点と、炎上するケースが皆無だったことも大きいのではないだろうか。
続けて、昨季の唐川が記録した、結果球における各球種の割合について見ていきたい。
先発時代はストレートを投球の軸にしていたが、リリーフ転向後はカットボールを多投するスタイルに変化。それに加えて、決め球に用いるチェンジアップと、「曲がらない」ことによってカットボールとの違いを活かす真っ直ぐ、他のボールとの球速差のある落差の大きいカーブといった球種を交え、結果球としてはスプリットの割合が少ない、というスタイルになっている。
次に、唐川が2020年に記録した、球種別の被打率を確認したい。
なんとストレートの被打率が.000。年間を通してストレートを投じた際には1本もヒットを打たれていないという、驚異的な数字を残していた。ただ、2020年の唐川は速球を投じる割合が9.3%とかなり少なく、投球の軸となるカットボールがあるからこそ、打者にとっても打ちにくくなる球種だったといえる。その投球術の効果のほどは、上記の被打率が物語っている。
また、全体の50%を超える割合を占めたカットボールも被打率.224と、ピッチングの中心にふさわしく、安定して頼れる球種となっている。そこに被打率.125のチェンジアップを交えた配球が、2020年の唐川のピッチングを支えていたといえる。この3球種のいずれかを投じる可能性は実に全体の88.1%に及んでおり、それぞれの球種が持つ特性の違いもあって、打者にとっては攻略が難しくなっていることがうかがえる。
その一方で、先発時代は機能していたカーブと、空振りを奪うための球と言えるスプリットの2球種は、いずれも極端に悪い被打率となっていた。この辺りにも、リリーフ転向に伴うモデルチェンジの結果が表れているといえるか。打者の目先を変える効果のあるカーブは9.7%と一定以上の割合で投じているが、先述の通り、より信頼できる球を多く用いながら打者を幻惑するというアプローチは、十二分に成果を上げていると言えそうだ。
唐川侑己のコース別被打率 | ||||
---|---|---|---|---|
.000 | .000 | .000 | .000 | .000 |
.000 | .250 | .000 | .000 | .000 |
.333 | .214 | .667 | .091 | .000 |
.000 | .125 | .333 | .000 | .500 |
.000 | .250 | .000 | .333 | .000 |
最後に、昨季の唐川が記録したコース別の被打率についても見ていきたい。 ど真ん中では痛打を浴びているものの、それ以外のコースでは真ん中低めを除き、いずれも.250以下という安定した数字を記録している。ストライクゾーンの中で勝負しても打たれるリスクは低いということであり、むしろ、ボールコースに外れる球が打たれるケースが散見されるという点が特徴的だ。
また、ストライクゾーン内に被打率.000のゾーンが3つあり、.125以下のコースも2つ存在している。打たれる可能性が非常に低いコースを多く備えているというのも、唐川投手の投球の安定感を支えている要素だろう。投手から見て右側のコースはいずれも被打率.100と、総じて得意としていることがうかがえる。
このゾーンには決め球のチェンジアップを投じて打ち取るケースが多かったが、真ん中の高さにカットボールを投じるケースもいくつか存在。この場合は右打者にとってはフロントドア、左打者にとってはバックドアとなり、やはり打者にとっては厄介なボールとなりうる。こういった、主力の球種とのシナジーも、このゾーンを得意としている要因の1つといえそうだ。
安定した制球、投球バリエーションの変化、痛打される割合の減少、味方の堅い守備。2020年の唐川投手が目を見張る安定感を維持し続けた理由は多岐にわたるものだ。若手時代とは異なる投球スタイルを身に着けた唐川投手だが、目を見張るスピードボールや大きく変化する球はなくとも、打者を手玉に取っていくという点は今も昔も変わりない。
先発時代からのモデルチェンジを成功させ、リリーフとして主力の座へと返り咲いた唐川。地元出身の生え抜き右腕が2020年に見せた大活躍は、ファンにとっても喜ばしいものとなったことだろう。「いつもありがとうございます 優勝しよう 力をください」。2020年、唐川がロッテの公式ホームページにおいて「マリーンズファンへ一言」という項目で残した言葉だ。自らがまだ経験したことのない、悲願のリーグ優勝に向けて。千葉のファンに愛され続ける成田の希望の星は、今季もチームのためにその右腕を振り続ける。