オリックスが引き分けに持ち込んだ。0−2の8回2死一塁で宗が2ランを放って追いついた。先発の田嶋は8回2失点と好投し、9回は平野佳が三者凡退に抑えた。ロッテは打たせて取る投球で完封も狙えた小島がつかまった。
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千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 |
オリックス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 |
オリックスは宗の1発に救われたが、ちぐはぐな攻撃が目立った。
吉田正が不在、紅林も10日に死球を受けてベンチを外れた。戦力を削られた状態では、1発に頼るのではなく、細かい野球をやっていかなくてはならない。
しかし初回、2回、3回と無死一塁から1点も取れなかった。1回は併殺。3回は8番伏見が出て、上位で得点しなければいけない状況下で9番太田がバントを失敗した。構えから絶対に成功させてやるんだという気持ちも見えず、初球を簡単に打ち上げた。後続が安打でつないだだけに、取れるところで点を取っておかないと。負けてもおかしくない展開だった。
2点を追う6回には、1死二塁から山足がプッシュバントした。最低でも同点としたい場面で山足にはヒットが求められる。もし打てなくても4番杉本が控え、二走は俊足の宗だ。無理して走者三塁にする必要はない。そこはセーフティーではなくて、絶対に打ってやるという積極性が欲しかった。結果的に判定が覆って2死三塁になった。ロッテからすれば、難敵杉本は四球でもいい場面。そこで杉本が「自分が決めなくては」という姿勢になってしまい、低めに手を出して三ゴロに倒れた。
一方でロッテ側を見ると、少ないチャンスを着実に生かして得点していた。後半戦5連勝とエースの働きをした小島の登板試合で負けられない。レアードのソロも、荻野の三塁打と中村奨の適時打も、何とかしなければいけない中でできることをやった。
小島は球数の少なさから見ても、継投はあり得なかった。88球目まで最高の投球をして、89球目で同点2ランを打たれた。これが野球の怖さ。最後の1球で全部が無駄になってしまうが、今日の小島は責められない。打った宗を褒めるしかない。素晴らしいホームランだった。
引き分けて試合後、小島はグラウンドで涙を流した。勝って、嬉しくて泣くのはいい。だが打たれたくらいで泣いてはいけない。まだ勝負は終わっていないのだから。
ロッテ小島和哉投手が1球に泣いた。今季3度目の完封まであとアウト4つ。89球目だった。真ん中やや低めを宗にすくわれた。同点2ラン。しゃがみ込み、動けない。
「自分が抑えていれば勝てた試合だったので本当に申し訳ないです」。責任を抱え込み、目を赤くし、益田に肩を抱えられた。
今までのドローとは意味合いが違う。「この3つ、勝つつもりでずっと来てましたので」と井口監督も言葉が重い。「よく投げた」とたたえた。弱いゴロに高いフライ。7回までは危なげなく抑えた。試合中盤で打ち込まれる左腕はもういない。それだけに痛恨だった。
首位オリックスには優勝マジック点灯が迫る。「とにかくまた明日、このカードは間違いなく負けられないので」と井口監督。安打は出始めた。いかに「あと1本」を出せるか。1人の投手に全てを負わせる訳にはいかない。
ロッテ井口資仁監督(46)が12日、ドラフト1位に市和歌山・松川虎生捕手(17)を指名した流れを明かした。
「1位ということはメディアの前では報告はできませんでしたけど、2〜3週間前から松川君行くというのは決めてましたので。自分も仕込んでましたので」。
そう言って、市和歌山のユニホームカラーの緑色のネクタイを示した。胸ポケットには緑色のハンカチもセットで持っていた。「(ハンカチも)昨日もしてましたよ」とし、報道陣に対して「我々の勝ちですね。(1位指名が)分かられたら、我々が困るので」と笑った。
ドラフト前日10日の報道対応では「1位は投手ですか?」との質問に「そういう方向性では行ってますけど、どうなるか。野手も何人かピックアップしているので」と答えていた。バッテリーを組んだ市和歌山・小園も1位候補として高く評価してきたものの、9月中には松川1位で固め、ドラフト戦略を組み立てていた。
井口監督自身も160〜170人の候補選手の映像をチェックしたという。「その中で捕手では筆頭に上がった選手なので。ドラフトのシミュレーションとか色々しても、やはり松川君が1位だったということです。松川君を確実に欲しいというのが我々のドラフトの戦略でした」と明かした。
打てる捕手として「マリーンズの黄金時代を担ってくれる選手の1人になってくれる」と最大限の期待を寄せる。「広角に長打を打てるのが1番の魅力。長打を打てる選手で引っ張るだけの選手はいっぱいいますけど、右方向へ大きいのを打てる打者はなかなかプロでも少ないので」。大きな期待を寄せ、未来へとつなげたい大事なオリックスとの首位攻防戦へと向かった。
ロッテ井口資仁監督(46)が12日、ドラフト1位指名した市和歌山・松川虎生捕手(17)への指名挨拶を行った。
ナイターのオリックス戦(京セラドーム大阪)を5時間後に控えた午後1時、松本球団本部長、永野育成・スカウト部長、担当の三家スカウトとともに和歌山市の同校を訪問した。
井口監督は「凛々しいですね。何か、やってやるぞという表情が非常に頼もしく思いました。精悍な顔つきというか、(藤原)恭大以来こういう顔を見たな、とそういう思いがあります」と嬉しそうに話した。
球界を代表する捕手、打者に−。そんな思いで1位指名した。「もしマリーンズに来てくれれば、合同自主トレを見ながら(キャンプで1、2軍)どっちでスタートかも考えながらやっていきたいと思います。1日も早く1軍で正捕手として頑張って欲しい、というのは伝えたので、あとは彼の頑張りだと思います」と大きな期待を寄せた。
松川は「思っていた以上に、すごく体がでかくて、すごく威圧感がありました」と井口監督のオーラにびっくり。「全員から信頼される選手になりたいですし、しっかり千葉ロッテマリーンズさんの顔として活躍できるように頑張りたいです」と前向きに話した。
指名挨拶後、井口監督は京セラドーム大阪へ出発。ロッテファンでもある松川は「本当に大事な3連戦になると思うので、1球1球しっかりイメージしながら応援していきたいと思います」とテレビ観戦する予定を口にした。
感涙を流した宗とは対照的に、ロッテ・小島和哉投手(25)は試合後のベンチで悲嘆の涙に暮れた。
「自分が抑えていれば勝てた試合。本当に申し訳ないです」。
3年目左腕は後半戦、ここまで2完封を含む3完投で5勝0敗。天王山に向けた先発ローテーション再編で、サンデー和哉≠ゥらエース≠ニして中8日で初戦を託された。「そのありがたみを理解して、後悔がないよう、チームが勝つことだけを考えて投げたい」と話していた中で、1球の失投に泣いた。
2.5ゲーム差の2位の現状では、負けに等しい引き分け。逆転優勝に向けて崖っぷちに追い込まれた井口監督は「逃げ切らなきゃいけなかったが、小島はよく投げた。全然、責められない」とかばい、最後に「(残り2試合は)もう間違いなく負けられない」と語気を強めた。
ロッテ・小島和哉投手(25)が8回2失点の好投も報われず。痛恨被弾で白星を逃した。
「自分が抑えていれば、勝てた試合。本当に申し訳ないです」。
ここまで東京五輪後の後半戦は2完封を含む5勝0敗、防御率2.45とエース級の働きをしてきた。これまではサンデー和哉≠ニして日曜日に登板してきたが、今回はプロ2度目の完封勝利を挙げた3日の楽天戦から中8日で天王山の初戦を託された。
「自分のローテがずれて、ここで投げさせてもらうので、そのありがたみを理解して、後悔がないようにチームが勝つことだけを考えて投げたい。すごく大事な1試合だということは分かっている。僕たちは勝たなきゃ次がない。だから、ここで弱気になる必要は全くない」。
登板前にはそう話していた3年目左腕は、7回まで無失点と好投を続けたきたが、2−0の8回2死一塁から宗に右翼席に運ばれ1球に泣いた。
2.5ゲーム差で2位のロッテが今季レギュラーシーズン最後のオリックス3連戦の初戦に引き分け。2−0の8回2死一塁で、それまで完封ペースで好投していた先発・小島が宗に同点2ランを浴びた。
井口監督は「小島はよく投げた。全然、責められない。チャンスはあったので、(攻撃陣が)もう1点というところ」と振り返った。
これで13日の直接対決で敗れれば、オリックスに優勝マジック「7」が点灯。ロッテが崖っぷちに追い込まれた。
ロッテのブランドン・レアード外野手(34)が26号ソロを放ち、天王山第1ラウンドで先制した。
0−0の4回、先頭マーティンが倒れたあとの1死無走者。田嶋が投じたカウント2−0からの3球目、内角に甘く入ったスライダーを左翼席ポール際に運んだ。
1位オリックスを2.5ゲーム差で追いかける2位ロッテは、今回の3連戦で12、13日に〇〇で優勝へのマジックナンバー「10」が点灯する。オリックスは12、13日に〇〇で「6」、〇△(順不同)なら「7」が点灯する。
天王山第1ラウンド。いずれかが、マジックに王手をかける一戦になっている。
ロッテからドラフト1位で指名された市和歌山高の松川虎生捕手が12日、和歌山市の同校で井口監督らの訪問を受け「千葉ロッテマリーンズさんの顔として活躍できるように頑張りたい」と初々しく意気込んだ。
京セラドーム大阪での首位オリックスとの決戦を前に足を運んでくれた監督との初対面を終えて緊張した様子。「思っていた以上にすごく体が大きい。(現役時代は)本当に、ここぞというときに打撃でも守備でも素晴らしい方」と印象を語った。
ロッテは強肩強打に加え、リーダーシップも高く評価している。井口監督はドラフト会議の2、3週間前には1位指名することを決めていたと明らかにし「マリーンズの黄金時代を担う選手の1人になる」と期待した。
こらえきれなかった。ロッテ・小島の目から涙がこぼれた。試合後、三塁ベンチからグラウンドに出て左翼席のファンに陣取った挨拶を終えた直後だ。胸の中で悔しさと情けなさが一気に交錯。球団を通じて「自分が抑えていれば勝てた試合だったのに申し訳ないです」と無念のコメントを発した。
中8日と登板間隔を空けて任された大事な大事な3連戦の初戦。過去3試合で2完封を決めている好調左腕は序盤から快投した。2−0で今季3度目の完封も見えてきた8回2死一塁。この日の唯一の失投である初球の直球が甘く入った。宗に捉えられた打球は右翼席まで飛んでいった。痛恨の同点2ラン。マウンドで崩れ落ちた。
8回2失点。先発として役割を果たした小島について井口監督も「よく投げた。全然責められない。野手陣がそれ以上に得点しなければいけなかった」。10日の日本ハム戦では9回2死から岡の2ランで追いついた。ナインは歓喜で沸いた。同じ引き分けだが、必死に追う首位・オリックスとの直接対決だけに「負け」に等しい。
残り12試合で首位と2.5ゲーム差のまま。井口監督は「もうこのカードは負けられない」と13日からの2連勝を誓った。逆転優勝の可能性をつなぐためにも、まずは一丸で相手の優勝マジックの点灯を阻止する。
打った宗も、打たれた小島も涙した。それほど大きかった8回の同点2ラン。ロッテのバッテリーは勝負に対する、ほんの少しの甘さが出た。非常にもったいなかった。
初球の直球が甘く入った。宗は仕掛けの早い打者。この日も第1打席から初球、2球目に手を出し、いずれも併殺打だった。場面は8回2死。ゲームプラン的には試合を「締め」にいく終盤で、小島には守護神のような細心さが必要だった。安打ならOK。本塁打だけは絶対に避けなければいけない中で、初球の入り方は直球で良かったのか。捕手の加藤も、宗の打席の前にマウンドにいって声掛けをしても良かった。そして、初球は例えばボールになる変化球から。それほど慎重さが求められる場面だった。
今シーズンの全てを懸けるような気持ちを両チームから感じた熱戦。追うロッテにとっては負けに等しい引き分けだ。今日からの残り2試合はしゃにむに勝ちにいくしかない。1番・荻野の状態がいいだけに、還す役目のマーティンがキーマンになる。
ロッテのレアードが0−0の4回に26号ソロ。1死無走者で田嶋のスライダーを左翼席に運んだ。9月25日の西武戦以来、13試合ぶりとなるアーチをかけ「先制点が大事だと思っていたから打てて良かった。今日のネタは中トロだね!」と、おなじみの寿司を握るポーズ。打点を挙げるのも7試合ぶりだ。
白星にはつながらなかったが、10日の日本ハム戦で2安打を放って復調の兆しを見せていた主砲が気を吐いた。
ロッテドラフト1位の市和歌山・松川が同校で井口監督から指名挨拶を受け、「体が大きくて、威圧感があった」と緊張の初対面を振り返った。
サインボール、色紙、ドラフト会場でつけていたパスをプレゼントされると「高校に入る前にテレビで見てファンの応援が凄いと思った」とロッテファンであることも告白。オリックス戦前、大阪から車で駆けつけた井口監督は「マリーンズの黄金時代を担ってほしい」と高校通算43発を誇る捕手に期待を寄せた。
打った宗も、打たれた小島も涙した。それほど大きかった8回の同点2ラン。ロッテのバッテリーは勝負に対する、ほんの少しの甘さが出た。非常にもったいなかった。
初球の直球が甘く入った。宗は仕掛けの早い打者。この日も第1打席から初球、2球目に手を出し、いずれも併殺打だった。場面は8回2死。ゲームプラン的には試合を「締め」にいく終盤で、小島には守護神のような細心さが必要だった。安打ならOK。本塁打だけは絶対に避けなければいけない中で、初球の入り方は直球で良かったのか。捕手の加藤も、宗の打席の前にマウンドにいって声掛けをしても良かった。そして、初球は例えばボールになる変化球から。それほど慎重さが求められる場面だった。
今シーズンの全てを懸けるような気持ちを両チームから感じた熱戦。追うロッテにとっては負けに等しい引き分けだ。今日からの残り2試合はしゃにむに勝ちにいくしかない。1番・荻野の状態がいいだけに、還す役目のマーティンの活躍が勝利には不可欠だ。
オリックスとの首位攻防戦。3連戦の初戦を引き分けたロッテ・井口監督は、2−0の8回に宗の同点2ランを浴びた先発・小島を責めることはなかった。
「よく投げましたね。全然責められない。それ以上に野手陣がとらないと。相手投手も頑張っていたし、その中で、我々は逃げ切らないといけないところでしたけど…」。
2試合連続引き分けとなったが、10日の日本ハム戦は9回2死から同点に追いついただけに、その意味合いは大きく異なる。
「チャンスはあったので、もう1点というところでしたね。(このカードは)3つ勝つつもりで来ていたので…。また明日、このカードは間違いなく負けられないので」。
2戦目を落とすことになれば、オリックスに優勝マジックが点灯するだけに、指揮官も必死だった。
パ・リーグ首位攻防初戦はロッテが2−0とリードしていた8回に先発の小島が宗に1発を浴びて同点に追いつかれて引き分けに終わった。引き分けたオリックスはCS進出を決めて、最速13日にも優勝マジックが点灯する。
8月18日の西武戦から3完投(2完封)を含む5連勝中で迎えた先発の小島。初回から3者凡退に抑えて上々なスタート。その後も7回まで無失点投球を続けていたが、8回2死一塁で宗に1発を浴びて同点に追いつれた。小島は8回2失点で降板し、2−2の9回は守護神の益田が無失点に抑えた。試合後、ベンチ前で小島は悔し涙を流した。
打線は0−0の4回1死走者なしでレアードがボールカウント2−0からオリックス先発の田嶋が投じた3球目をレフトポール際に打球を運ぶ26号ソロで先制。6回も無死三塁で中村奨の右前適時打で加点した。しかし8回に同点に追いつかれて引き分けた。
オリックスは先発の田嶋が8回2失点の投球も勝ち負けつかず。打線は0−2の8回2死一塁で宗が起死回生の8号2ランで同点に追いついて引き分けてCS進出を決めた。あす13日のロッテ戦に勝利すると優勝マジック「6」が点灯。引き分けても優勝マジック「7」が点灯する。
ロッテのレアードが首位オリックスとの天王山第1ラウンドで、先制アーチを描いた。
0−0の4回1死から左腕・田嶋のスライダーを左翼席へ運んだ。9月25日の西武戦以来となる26号ソロに、「先制点が大事だと思っていたから打てて良かった。当然初戦から全て勝ちにいくしかないからね!今日のネタは中トロだね!幕張スシ!サイGO!」とコメント。ベースを回る際には、おなじみの寿司を握るポーズも見せた。
ロッテ・井口監督が12日、ドラフト1位指名した市和歌山・松川虎生捕手に挨拶するため、和歌山市内の同校を訪問した。この日からオリックスとの首位攻防3連戦(京セラドーム)が始まるが、「これから試合もあるが、その前に、ぜひ顔を見て挨拶させてもらいたいと思ってきた」と大阪から車で70キロの距離を走ってきた。
高校通算43本塁打を誇る高校No.1捕手と初対面し、指揮官は「長打力を期待できる体しているし、彼は広角に打てる。やってやるぞという表情が頼もしく見えた。精悍な顔つきは恭大(藤原)以来に見た感じ。マリーンズの黄金時代を担ってくれる」と好印象も語った。
サインボール、色紙にドラフト会場で井口監督が着用していたパスをプレゼントされた松川は「ロッテファン」であることを告白。「高校に入る前にテレビで見て、応援が凄いと思った。投手、野手、総合力が高くてここぞというところで力を発揮するチーム。全員から信頼される選手になりたい」と目を輝かせていた。
ドラフト会議から一夜明けた12日、多くの球団が指名挨拶を行った。ロッテから1位指名を受けた同校の松川虎生(こう)捕手(17)には井口資仁監督(46)が試合前に足を運んだ。
井口監督らが12日、ドラフト1位・松川の指名挨拶で市和歌山高を訪問。サプライズの単独1位指名成功で報道陣に完勝宣言した。
オリックス戦の前に大阪から足を運んだ指揮官は「2、3週間前から松川君でいくと決めていた。自分も仕込んでいた。我々の勝ちですね」と、指名予想を外した担当記者を見渡しながらニヤリ。「まとめられる力が非常にある。そこを評価した。日本を代表する捕手、球界を代表する打者としても期待している」と激励し「新人合同自主トレを見ながら、どっちでスタートかを考えたい」と1軍キャンプ抜擢を示唆した。
ロッテファンの松川は「待ってるぞ、という言葉が嬉しかった。マリーンズの顔として頑張りたい」と気合十分。好物のロッテ製品は「雪見だいふく」と即答した。
1球に泣いた。勝てばマジック点灯へ王手をかける首位・オリックスとの攻防戦で、2点リードの8回1死一塁、小島が宗に痛恨の同点2ランを浴び、引き分けに持ち込まれた。
完封目前だった。7回まで4安打無失点に抑え、オリックスにチャンスを与えない投球が続いていたが、失投を捉えられ、膝から崩れ落ちた。「自分が抑えていれば勝てた試合だったので本当に申し訳ないです」と小島は涙をこらえられなかった。
試合後井口監督は「小島はよく投げた。全然責められない。それ以上に野手陣が取らないと行けないですから。相手ピッチャーも頑張ってましたし、その中で何とか逃げ切らなくちゃいけなかった」と振り返った。
13日の直接対決で敗れると、オリックスにM7が点灯する。もう、負けられない。
逆転Vへ巻き返しを図るロッテは、12日から2.5ゲーム差で追いかける首位・オリックスとの首位攻防3連戦(京セラドーム大阪)に挑む。9月28日〜30日のオリックス戦(ZOZO)では同一カード3連敗を喫するなど、今季オリックスとの対戦成績は8勝10敗4分けと負け越している。今回の3連戦の注目は、12日の同戦で先陣を切る3年目左腕・小島和哉投手だ。
もうロッテのエースと言っても過言ではない。小島は9月11日の楽天戦(ZOZO)で9回4安打1失点でプロ初完投。109球を投げで四死球はゼロ。抜群のコントロールの良さも見せつけ、楽天・岸に投げ勝った。「これまで、打たれちゃいけないと自分の中でちょっと弱気になるところがあった。マウンドの上で色々思ってしまうことがあったのでこれがラストチャンスではないけど、そういう気持ちで投げられたのが良かった」。この試合で小島は昨季に並ぶ自己最多タイの7勝をマーク。ここから小島の”大覚醒”が始まった−。
翌週の19日・日本ハム戦(札幌ドーム)では9回4安打無失点で完封勝利。115球の力投でチームを勝利に導きこの試合でキャリアハイとなる8勝を挙げた。ロッテ投手のプロ初完投から2試合連続完投勝ちは91年今野以来30年ぶり。好調の要因は「自分でもはっきりと分かっている訳じゃないんですけど」と笑った小島だが「ボール球をできるだけ投げないというか、どんどんストライク先行でいこうっていうのは常に思っているので。それが僕の中の強気っていう解釈で、攻めるいいピッチングできている秘訣なのかな」と話す。
9月26日の西武戦(メットライフドーム)では6回4失点(自責2)と西武打線に苦戦したものの、チームは藤岡などの適時打で逆転し小島に白星が舞い降り9勝目。「油断したらすぐにやられる世界というか、前回おさえたから次が抑えられるという保証は全くない」と話していた小島だが、強気で攻める投球を貫き10月3日の楽天戦(楽天生命パーク)でも9回3安打無失点でジャスト100球の完封勝利。楽天・田中将に投げ勝ち、これでチームトップ&自身初の2桁勝利をマークした。後半戦は8月18日の西武戦(ZOZOマリン)から5連勝中と勢いに乗っている。
チームの今季の貯金10のうち7個が小島が稼いでおり、井口監督も「このところイニングもしっかり投げてくれているし内容も非常にいい。しっかりと1年ローテを守ってくれているので頼もしい」と評価する。これまでは主に日曜日の登板だったが、首位・オリックスとの重要な3連戦を制するため、絶好調の小島を中8日にずらして12日のカード頭に起用する。「カード頭に投げさせてもらえるありがたみをしっかりと理解して、とにかく最少失点で中継ぎにつなげられるように」と小島。この3連戦は小島のあとに石川、佐々木朗が控える。佐々木朗は1軍公式戦初となる中6日登板に挑む。前回の10月7日・楽天戦(ZOZO)では勝ち星は付かなかったものの7回2失点(自責1)と好投。球速も1軍戦最速タイの158キロをマークするなど、逆転Vへのキーマンの1人となりそうだ。
ロッテが12、13日に2連勝すればマジック「10」が点灯、逆に2連敗すればオリックスにマジック「6」が点灯する。悲願のリーグVへ最後の天王山がいよいよ幕を開ける。
一球に泣いた。2点リードの8回2死一塁。宗の打球が右翼席で弾む。ロッテ・小島和哉投手はマウンド上でしゃがみこんだまま、しばらく立ち上がれなかった。8回2失点の好投も、痛恨のドロー。「自分が抑えていれば勝てた試合だったので、本当に申し訳ない」。まるで敗戦投手のように振り返り、試合後は涙を流した。
首位・オリックスと最後の直接対決3連戦。2完封を含む5連勝中の左腕は、中8日でカード頭を託された。初回から粘りの投球を続け、7回まで被安打4で無失点だった。
だが、援護は4回のレアードの26号ソロと、6回の中村奨の右前適時打による2点のみ。井口監督は「相手ピッチャー(田嶋)も頑張ってましたけど」と話しながらも、「野手陣が点を取らないといけない」と悔やんだ。
2.5ゲーム差は変わらないが13日に敗れると、オリックスに優勝マジック7が点灯する。崖っぷちに立たされた指揮官は「このカードはもう間違いなく負けられない」。直接対決は残り2試合。総力戦で勝ちにいく。
ロッテの井口監督は、痛すぎる引き分けも8回2失点と好投した小島を必死にかばった。7回まで無失点に抑えていたが、8回2死一塁。宗へ右翼席に同点2ランを被弾。1球に泣いた。
9回は益田が抑え、敗戦は免れたが、指揮官は「(小島は)もう全然、責められないしね。野手陣が点を取らないといけないですから、相手ピッチャーも頑張っていたし、その中で何とか逃げ切れなくちゃいけないところでしたが」と振り返った。
引き分けで首位のオリックスとは3ゲーム差に広がり「3つ勝つつもりでずっときてますので、またとにかくあした、このカードは間違いなく負けられないので、しっかりと戦っていきたい」。オリックスとの残り2試合、何とか連勝して逆転Vへ一筋の望みをつなぐ気概をみせた。
首位攻防第1ラウンドは2位ロッテがリードを守れず痛い引き分け。ゲーム差は2.5のままとなった。
2点リードで迎えた8回2死一塁。完封ペースの好投を続けていた先発・小島は宗に対して投じたこの日の89球目を右中間スタンドに運ばれる同点2ランを被弾。激しくガッツポーズする宗と対照的に、小島はマウンドに膝をついて落胆した。
7回までは攻勢だった。4回に4番・レアードの26号左越えソロで先制。6回は無死から荻野の右中間三塁打で好機をつかむと、中村奨の右前適時打で加点。2点のリードを奪っていた。
小島は初回から3イニング連続で先頭打者の出塁を許したが、2併殺に仕留めるなど要所を締める投球。7回は2死三塁のピンチを招いたが、4番・杉本を三ゴロに打ち取って迎えた8回。完封まであと4人のところで痛恨の被弾だった。
ロッテのレアード内野手が首位攻防3連戦初戦で先制の26号ソロを放った。
4回1死。2ボールから、真ん中スライダーを振り抜き、左翼ポール際へ。9月25日の西武戦以来のアーチ。「先制点が大事だと思っていたから打てて良かった。当然初戦から全て勝ちにいくしかないからね。今日のネタは中トロだね。幕張スシ、サイGO!」。
前回ホームでの直接対決3連戦は3連敗。リベンジへ敵地で大きな一発を放った。
ロッテのドラフト1位・松川虎生捕手が12日、和歌山市内の市和歌山高で井口監督、松本球団本部長らから指名挨拶を受けた。
初対面の井口監督からはドラフト会場の入館パスとサインボールをプレゼントされた。「より一層、気を引き締めてやっていきたいなとは思いました。しっかり千葉ロッテマリーンズさんの顔として活躍できるように頑張りたい」と早くも入団への思いをはせた。
好きなお菓子を問われ「雪見だいふくが大好き」と答え、同じ製品が好きなDeNA1位・指名された小園に対しても「(小園も)大好きだと思うので渡したいですね」と笑みをこぼした。
井口監督は第一印象についても「凛々しいですね。何かやってやるぞという表情が非常に頼もしく思いました」と喜び、付け加えて「精悍な顔つきというか、本当に何か、(藤原)恭大以来、こういう顔を見たなと、そういう思いを持っています」と将来性を感じたようだ。
ZOZOマリンスタジアムのロッカールームは真ん中にソファが置かれ、部屋を囲むように壁側に選手ロッカーが並ぶ。小島和哉投手の座る場所の右側にはテレビを挟んでレオネス・マーティン外野手がいる。必然的に話す機会も増える。
「色々な話をしてくれます。アドバイスもしてもらいます。メジャーで活躍された方のお話は貴重ですし本当に勉強になります」と小島は話す。
通常、投手と野手は練習時間やメニューも違うことから話し込む機会はあまりないものだが、このロッカー配置の縁もあり、積極的に話をするようになった。
昨年7勝を挙げ、今季のさらなる飛躍に燃えてスタートした1年だが開幕当初、小島は思ったようには白星を伸ばすことができなかった。球数が増え、早い回に途中交代することも多かった。選手ロッカーに戻り、天井を見上げ、大きなため息をつく毎日。そんな若者の姿を見ていたマーティンは話し掛けた。
「バッターってさあ、ピッチャーの雰囲気とかを結構、感じるものだよ。目つき、顔つき。強気に攻めてやるぞという雰囲気というのかな。だからマウンドでは堂々として攻めてやるぞという雰囲気は出した方がいいと思う」。
小島にとって忘れられないアドバイスだ。目からうろこが落ちたような表情を見せる小島にマーティンは続けた。「いいところに投げるのも大事だけど、バッターが嫌なことをするのも大事だよ」。普段はマウンドからの自分目線しか分からない。しかし、少し視点を変え打席での打者の目線について思いを巡らせてみると、マーティンのアドバイスは納得できるものだった。
それ以外にも色々な打者心理を教えてくれた。左打者は左投手と対戦する時にどのような意識でいるか。どのようなボールが打ちづらいと感じているのか。様々な状況下で打者はどんな狙いをもっているものなのか。野球ノートをつけるなどこれまで自分の中での発見、感じたことをピッチングに生かし成長を続けてきた小島にとって、マリーンズを引っ張る左の強打者の打者心理は興味深く、たくさんのヒントがあった。
それからはロッカーで試合前も試合後も色々な質問を投げかけるようになった。時にはマーティンがライトを守っていて気が付いたこと。故障中にテレビ観戦をしていて思ったことなども教えてくれた。登板後はいつも「あの球、良かったね」と褒めてくれた。
小島は10月3日の仙台でのイーグルス戦でプロ入り初の10勝目を挙げた。4連敗で沈むチームを救う貴重な勝利は今季2度目の完封勝利だった。この日、2軍で復帰に向けて調整中だったマーティンはテレビ観戦。「しっかり攻めている。いい投球だ」と何度もテレビ画面に話し掛けるように見守った。そして試合が終了すると「ハッピーデイ!」と破顔した。
「マーティンさんと話をしていると発見がたくさんある。これからも攻めの投球をしていきたいと思う」と小島。
シーズンは最終盤に入った。バファローズとの優勝争いは、し烈を極めている。今季、飛躍し続ける若き左腕は1974年以来のリーグ1位でのリーグ優勝を目指すマリーンズのキーマンだ。背番号「43」はマウンドで魂の投球を続ける。攻めのピッチングで打者を圧倒し、優勝をたぐり寄せる。
(千葉ロッテマリーンズ広報・梶原紀章)
3月26日に開幕したプロ野球のペナントレースは佳境を迎え、リーグ優勝争いは一層激しさが増してきた。1974年以来の勝率1位でのリーグ優勝を目指すロッテは、首位・オリックスと現在「2.5」差の2位。12日から敵地・京セラD大阪で首位・オリックスと3連戦を迎える。
前回9月28日〜9月30日にかけて本拠地・ZOZOマリンスタジアムで行われた“首位攻防3連戦”は、首位に立っていたロッテが3連戦で1勝すれば、優勝マジックが点灯するという展開のなかでまさかの3連敗。試合のなかった10月1日にオリックスが勝利し、ロッテは2位に後退した。
今回ロッテは首位・オリックスと「2.5」差の2位で敵地に乗り込む。優勝するためには、3連勝したいというのが本音だ。ここ最近のチーム状況は、9月22日のソフトバンク戦以降は3連敗、2連勝、4連敗、3連勝、そして現在引き分けを挟んで3連敗中と大事な終盤戦で波に乗れていない。
今季のロッテは開幕5連敗を喫したかと思えば、4月1日の楽天戦で今季初勝利を挙げると、そこから引き分けを挟んで4連勝。交流戦で8勝9敗1分と負け越し、大きな連敗はないが、大きな連勝もないという戦いをしていたが、7月に入って3日の楽天戦から7日のソフトバンク戦にかけて5連勝した。
後半戦に入ってからは最初のカードとなった首位・オリックスとの3連戦に負け越し、続く西武との初戦にも敗れ、ズルズルいくかと思われたが、直後に3連勝。開幕からリーグトップの得点力を誇る打線が9月に入り状態が落ち込んできたところで、先発陣が安定し9月では51年ぶりに単独首位に浮上した。
今季のロッテは、どこか読めない戦いをしており、今チーム状態が落ちているとはいえ、何かをきっかけに状態を上げる可能性を秘めているのだ。
10日の日本ハム戦は、ミスや不運もあったが、岡大海が2−4の9回2死一塁、1ボール2ストライクという場面で、日本ハムの守護神・杉浦稔大が投じた4球目のスライダーをレフトスタンドへ放り込む値千金の同点2ランで引き分けに持ち込んだ。連敗が続いているとはいえ、負けを覚悟した試合で引き分けた。この引き分けが、チームに新たな風をもたらすかもしれない。
そして、今日からオリックスとの3連戦。序盤リードしていても、試合終盤にリリーフ陣が打たれ逆転負けという試合が何度かあった。最後のアウトを奪うまで本当に何が起きるか分からない。そんな戦いが続いている。この嫌な雰囲気を払拭する意味でも初戦の先発・小島和哉がゲームを作り、終盤は“勝利の方程式”で逃げ切るマリーンズが今年見せてきた戦いで流れを作りたい。
大阪での“首位攻防戦”を終えると、ZOZOマリンに戻ってソフトバンクと3連戦、メットライフドームで西武戦、そして、PayPayドームでソフトバンク戦と“8連戦”となっている。
この8連戦は大阪、千葉、埼玉、福岡と移動もあり、選手達の疲労も心配だ。ただ、もうそんなことを言っている時期ではない。優勝するためには、ここを乗り越えなければならない。8連戦が終わるのは1週間後の10月19日。そのときにマリーンズは優勝が見える位置にいるのか−。それとも、優勝が絶望的でCS争いをしているのか−。それは誰にも分からない。
今季のロッテは数々のミラクルを起こしてきた。4月21日の日本ハム戦では4−5の9回2死一塁から岡が2ランを放ち逆転サヨナラ勝ち、8月21日のソフトバンク戦は6回終了時点で0−5だったが、7回に5点を奪い同点に追いつくと、9回に3点を挙げて8−6で勝利したこともあった。負けゲームを勝ち試合に、そして引き分けにしてきた。
今現在の2位という順位を変えることはできないが、マリーンズの頑張り次第で“未来”を変えることはできる。8連戦を終えたときに、まだまだ熱い戦いをしていると信じたい。
左の先発不足に悩まされてきたロッテに、待望の左腕エース誕生の気配だ。プロ3年目の小島和哉投手が3日の楽天戦で無四球完封勝利を記録し、キャリア初の2桁勝利を達成。9月19日の日本ハム戦でも完封を記録しており、9月11日以降の4試合で4連勝。そのうち3試合が完投だ。
8月終了時点では防御率4.65と、登板ごとの波の大きさは否めなかった。9月に入ってから急激に投球内容を向上させ、まさに“覚醒”という言葉がぴったりと当てはまりそうだ。
大化けを果たしつつある理由は、一体どこにあるのだろうか。年度別成績や各種の指標、期間ごとの成績や球種配分の違い、バッテリーを組んだ捕手別の成績といった要素をもとに、考えていきたい。(成績は10月9日時点)
まずは、年度別成績を見ていきたい。
小島和哉の年度別成績 | ||||||||
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年度 | 試合 | 勝利 | 敗北 | 勝率 | 投球回 | 奪三振 | 四球 | 防御率 |
2019 | 10 | 3 | 5 | .375 | 54.1 | 45 | 20 | 4.31 |
2020 | 20 | 7 | 8 | .467 | 113.1 | 83 | 47 | 3.73 |
2021 | 21 | 10 | 3 | .769 | 126.1 | 89 | 46 | 3.85 |
浦和学院高時代に春の選抜で優勝投手となり、早大でも主戦として活躍。プロでも1年目の2019年から開幕ローテに加わったが、序盤戦で打ち込まれて2軍落ちを経験。それでも8月の月間防御率1.88、9月は同3.00と夏場以降は安定した投球を見せ、終盤戦には先発陣の一角に定着した。
2020年にも開幕ローテ入りし、年間を通じて先発として奮闘。規定投球回には6.2イニング足りなかったが、防御率3.73と投球内容も改善。7勝8敗と星勘定では1つ負け越しており、「勝てる投手」への飛躍も課題となっていた。
2021年も3年連続で開幕ローテ入り。前半戦はやや不安定ではあったものの、負け数はわずかに3つと、前年の課題だった貯金をつくるという面で進歩を見せていた。そして、東京五輪による中断期間が明けてからは負けなしの5連勝。投球内容の面でも大きな進化を遂げつつある。
次に、年度別の各種指標について見ていきたい。
小島和哉の年度別の各種指標 | |||||||
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年度 | 試合 | 投球回 | 奪三振 | 防御率 | 奪三振率 | 与四球率 | K/BB |
2019 | 10 | 54.1 | 45 | 4.31 | 7.45 | 3.31 | 2.25 |
2020 | 20 | 113.1 | 83 | 3.73 | 6.59 | 3.73 | 1.77 |
2021 | 21 | 126.1 | 89 | 3.85 | 6.34 | 3.28 | 1.93 |
2019年の奪三振率は7.45だったが、年を経るごとに低下。また、K/BB(奪三振と与四球の比率)も2年続けて1.00台と、かなり低い水準となっている。また、与四球率は決して良いとは言えない水準。それでも、2020年に比べれば2021年の数字は0.5近く向上しており、改善の兆しは見られる。そうした制球力向上の傾向が見え始めたのも、9月以降の好調と同じタイミングとなっている。
ここからは、2021年の成績で「8月以前」と「9月以降」の2つの期間に分けて見ていきたい。
小島和哉の「8月以前」と「9月以降」の成績 | |||||||||
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年度 | 試合 | 勝利 | 敗北 | 勝率 | 投球回 | 防御率 | 奪三振率 | 与四球率 | K/BB |
8月以前 | 16 | 6 | 3 | .667 | 89 | 4.65 | 6.37 | 3.84 | 1.66 |
9月以降 | 5 | 4 | 0 | 1.00 | 37.1 | 1.93 | 6.27 | 1.93 | 3.25 |
奪三振率に関しては大きな違いは見られない。しかし、防御率は段違いに向上していることに加え、課題の与四球率も1.93と素晴らしい水準に達し、“四球を出さない投手”へと変貌を遂げつつある。K/BBも8月以前は1.66と例年並みだったが、9月以降は3.25に。奪三振率自体はほぼ変化していない点を鑑みても、与四球の大幅な減少が各種の指標に対しても好影響をもたらしていることは間違いない。
続けて、今季バッテリーを組んだ捕手別の成績を見ていきたい。
小島和哉の捕手別成績 | |||||||
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捕手 | 試合 | 勝利 | 敗北 | 勝率 | 投球回 | 自責点 | 防御率 |
田村龍弘 | 8 | 2 | 2 | .500 | 42.1 | 26 | 5.53 |
柿沼友哉 | 4 | 2 | 0 | 1.00 | 23.2 | 11 | 4.18 |
佐藤都志也 | 3 | 1 | 1 | .500 | 17 | 9 | 4.76 |
加藤匠馬 | 6 | 5 | 0 | 1.00 | 43.1 | 8 | 1.66 |
田村龍弘捕手とはここまでで最も多い8試合でコンビを組んだものの、防御率5.53。捕手別では最も悪くなっている。また、佐藤都志也捕手とでも防御率4.76と打ち込まれており、相性はさほど良くない。この2選手に比べれば、柿沼友哉捕手とは4試合で2勝負けなしと相性は良いが、それでも防御率は4.18という数字にとどまった。
そんな中で、シーズンに中日からトレードで加入した加藤匠馬捕手との抜群の相性は特筆もの。6試合で5勝0敗、防御率1.66という驚異的な数字に加え、与四球も43.1イニングで8個のみと激減。9月以降の成績の改善には、加藤という頼もしい相棒を得られたことが大きく寄与していると考えられる。
最後に、2021年の結果球における球種の割合を、中断期間前の7月14日以前と、7試合中6試合で加藤とバッテリーを組んだ8月18日以降の2つの期間に分けて見ていきたい。
持ち球の多彩さも特徴の1つで、結果球だけを取っても、ストレート、カットボール、チェンジアップ、スライダー、ツーシーム、カーブを投げ分けている。前半戦では速球の割合が約50%、カットボールとチェンジアップがそれぞれ約20%と、この3球種を軸に投球を組み立てていたことが分かる。
それに対して、後半戦ではストレートの割合が約6%少なくなり、スライダーの割合も8.1%から4.7%と減少。その代わりにツーシームの割合が10%以上も増加しており、比率が大きく変わっていないカットボールとチェンジアップに次いで多投する球種となっている。
奪三振率は年間を通してほぼ変化していない面を考えると、成績の良化は四球を出す割合の低下と、打たせて取る投球の精度向上によるところが大きいと考えられる。ツーシームをより多く使用するようになったことが、その一助となっている可能性は十分にあるだろう。
カットボール、ツーシームと、左右どちらの方向にも打たせて取る投球に適した変化球を持っている。それに加えて、チェンジアップ、スライダー、カーブと緩急をつける球種も備えており、絶対的な決め球こそないものの、多くの引き出しを持つ投手と言える。それだけに、捕手との相性が成績に大きく反映されるという面は、取り上げた数字にも表れている。
主に加藤と組むようになった8月以降は、カットボールに加えてツーシームの割合を増やしたこともあってか、投球内容そのものが劇的に向上。移籍後はリード面で高く評価されている加藤の配球が、小島の適性と絶妙にマッチしたことで、“覚醒”と形容できるほどの成績の向上につながったと考えられる。
急激に完投能力を高めつつあることは、自身の成績のみならず、チームにとっても大きな意味を持ってくる。小島以外で今季のロッテで完投を記録した投手は、4月27日に8回を投げて完投負けを喫した石川歩投手のみ。すなわち、今季に完投勝利を記録したのは、小島ただ1人だ。
チームの完投数の少なさは、リリーフ陣の負担増にもつながる。それだけに、小島がかつての涌井秀章投手のように、多くのイニングを消化できる存在となってくれれば、チームに欠けたピースを埋める存在となりうる。かつての甲子園優勝投手の投球は、逆転優勝を狙うマリーンズにとっても、重要なファクターとなるだろう。