完全試合達成が海外でも大きな話題となったロッテ佐々木朗希投手(20)は、再び興奮を巻き起こすか。井口資仁監督(47)は24日オリックス戦(京セラドーム大阪)の先発について「予定通り行きます」と、21日までに明言済みだ。
オープン戦から首脳陣のプラン通りに投げ、開幕後はこれで5登板目になる。10日に完全試合を達成し、2週間後に同じオリックス打線が相手。17イニング連続パーフェクトの記録はどこまで伸びるか。注目は球界の枠を超えつつある。
ただ本人は、現場は、あくまでも長いシーズンを大局的に見る。前回17日の日本ハム戦(ZOZOマリン)後に動きがあったことを、井口監督が明かした。
「次(の登板)を見て、その先を考えようかなと、朗希ともこの間終わった後にトレーナー、アナリスト、みんな含めて話をしているので」。
雨天中止がなければ、日曜日ローテは試合が続く。以前から交流戦前に1度登板を飛ばす可能性を示唆しているが、あらためて「次回次第ですかね」とした。「前向きな話を朗希ともずっとしてるので」と言う。能力はライバル球団に強烈に示した。これを春夏秋と続けることが、何よりの優先事項だ。
完全試合を達成したロッテ佐々木朗希投手(20)の記念グッズが21日、新展開を見せた。
すでに第1弾は発表されているものの、今回は第2弾として50点以上の商品を緊急展開する。目玉は「ビックリマンシール風のデザイングッズ」だ。Tシャツ、各種タオル、トートバッグ、クッションなどがラインアップされる。
完全試合バージョンのデザインがグッズ用に特別製作されたもので、ロッテの人気菓子「ビックリマンチョコ」のおまけとしては入手できないものになる。佐々木朗がビックリマンシールになるのはプロ3年目で3度目になる。
佐々木朗本人には特別に、世界で1枚だけのシール(A4サイズ)がプレゼントされ「1年目の時に作ってもらったオリジナルシールデザインが今回このような形でリニューアルされてグッズとして急遽、出していただけることを大変嬉しく思いますし、光栄です。グッズもたくさんの人が購入していただいていると聞いています。皆様の期待に応えられるように頑張ります。いただいた特製のシールも大切にさせていただきます。作っていただき、ありがとうございました」と感謝のコメントを寄せた。
4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)で達成した完全試合の記念グッズ第1弾は、販売初日に、レプリカユニホームだけで昨年1年間の佐々木朗のレプリカユニホーム販売数の約1.5倍になったと、担当者は明かしている。
パ・リーグ6球団、パシフィックリーグマーケティング、メルカリは、ロッテ佐々木朗希投手(20)が10日に達成した完全試合全27アウトのメモリアルシーンを1アウトずつ(計540個)「パ・リーグ Exciting Moments β」で販売する。25日に1回表の3アウトをそれぞれ販売し、翌日以降、5月3日まで毎日各イニングを販売していく。
「パ・リーグ Exciting Moments β」は、パ6球団の記憶に残る名場面やメモリアルシーンを捉えた動画コンテンツを自分だけのコレクションとして保有できる6球団公式のサービス。シーンや選手に応じて、★の個数でレアリティが付いており、専用ウェブサイトで簡単に購入できる。通常の試合の公式映像はダウンロード等は禁止されているが、購入したコンテンツはダウンロードして自身で保有したり、サービス内機能を活用時のみSNS等でシェアも可能。
今回のレアリティは★4つで、各2万5000円。
ロッテ谷川唯人捕手(19)がプロ初のサヨナラ安打を放った。
この日は途中出場で左翼守備につき、延長10回無死一、二塁、西武松岡から右中間へのサヨナラ安打を放った。
立正大淞南(島根)から20年育成ドラフト1位で入団するも、1年目の昨季は腰の手術の影響もあり、イースタン・リーグでも9月下旬に4試合に出場したのみだった。
2年目の今季は同リーグ開幕から19打席連続無安打、うち三振が10個と苦しんでいたが、17日のヤクルト戦(戸田)で今季20打席目にして初安打となる2点適時打。この日もサヨナラ打を放ち調子を上げてきた。
また、再調整のためにこの日出場選手登録を抹消となった藤岡裕大内野手(28)安田尚憲内野手(23)もスタメン出場し、ともに2安打を放った。
再登録は5月1日以降となる。雨天等での中止がなければ少なくとも8試合は1軍の戦列を離れ、打撃を作り直すことになる。
今季初勝利を挙げたエンゼルス大谷翔平投手(27)が試合後、10日のオリックス戦でプロ野球28年ぶりの完全試合を達成した同郷・岩手出身のロッテ佐々木朗希投手(20)について言及した。
「素晴らしいなとは思いますし、実際に見てないので、ちょっとあれですけど、2試合連続で、何イニング、ゼロで抑えるだけで難しいですけど、ヒットを打たれないっていうのは、それだけ素晴らしいボールを投げてるってことだと思う。これからも頑張って欲しいですし、応援しようと思います」。
完全投球の映像は見ていないというが、次の登板の8回完全での降板は米国でも話題となっている。「素晴らしい投手ですし、(チームの)みんな知ってたりするので、アメリカのニュースで流れたりしますしね。もっともっと頑張ってもらいたいなというか、自分も励みにしたいなと思ってます」と終始、佐々木朗の話題に表情を緩めていた。
千葉県の熊谷俊人知事は21日の定例記者会見で、完全試合を達成するなど活躍中のプロ野球ロッテの佐々木朗希投手(20)に対し、知事賞を贈る方向で検討していると明らかにした。熊谷氏は「空前絶後の偉業で、県民に勇気や感動を与えた」とたたえた。
県はこれまで、スポーツの振興に貢献し、功績が顕著な人に知事賞を授与してきた。熊谷氏は「素晴らしい選手がマリーンズに所属しているのはありがたい。継続してピッチングを見たい」と期待を語った。
佐々木投手は10日に史上最年少で完全試合を達成し、17日の試合でも8回まで1人の走者も許さない快投を見せた。
ロッテは10日のオリックス戦での佐々木朗の完全試合を記念した「ビックリマンシールデザイングッズ」を22日から球団オンラインストアで販売する。本社のチョコレート菓子の付属シールで1年目にデザインされたものを「完全試合バージョン」にリニューアルし、Tシャツ、タオルなどを販売する。
快挙達成後、右腕のレプリカユニホームはわずか1日で昨年販売数の1.5倍以上の約5000件の注文があったという。17日の日本ハム戦も含め17回パーフェクト中の右腕は「多くの方に購入してもらっていると聞いています。皆さまの期待に応えられるよう頑張ります」と意気込む。
次回登板について井口監督は「予定通り。その先は次の投球を見て」とまずは中6日で24日のオリックス戦(京セラドーム)での先発起用を明言した。
千葉県の熊谷俊人知事(44)は21日、定例会見で同県を本拠とするロッテで完全試合を達成するなど活躍中の佐々木朗希投手(20)に対して知事賞を贈る方向で検討していると明かした。
県はこれまでもスポーツの振興に貢献し、功績が顕著なアスリートらに同賞を授与。熊谷知事は「空前絶後の偉業で、県民に勇気や感動を与えた。素晴らしい選手がマリーンズに所属しているのはありがたい。継続してピッチングを見たい」と期待していた。
ロッテの佐々木朗希投手(20)が当初の予定通り、中6日で24日のオリックス戦(京セラD)に先発する。井口監督は21日、「予定通り行きます」と明言。開幕から中6日が続いているが、登板後の状態を見極めた上でゴーサインを出した。
佐々木朗は10日のオリックス戦(ZOZO)で、史上最年少での完全試合を達成。続く17日の日本ハム戦(ZOZO)でも8回完全14Kでマウンドを降り、17回完全イニングを継続中だ。2試合連続完全試合はならなかったが、日本人最長タイの25イニング連続奪三振をマーク。打者52人連続斬りも続いている。
相手は2週間前と同じオリックス。指揮官はその後の登板について「24日次第」とし、「その先はまた考えようかなと。朗希、トレーナー、アナリスト含めて前向きな話をしている」と説明した。交流戦前に出場選手登録を抹消して休養を与えるプランもある。
圧倒的な投球続きで人気もうなぎ登りだ。完全試合グッズ第1弾として販売したレプリカユニホームは、たった1日で昨年1年間の売り上げの1.5倍を記録。22日からは第2弾として、ビックリマンシールデザインのグッズを9種、受注販売する。佐々木朗は「大変嬉しく思いますし、光栄です。皆様の期待に応えられるように頑張ります」と気合を入れ直していた。
エンゼルス・大谷翔平投手(27)が、投打の活躍で今季初勝利をつかんだ。20日(日本時間21日)の敵地・アストロズ戦に「1番・投手、DH」でフル出場。6回1死まで1人の走者も出さないパーフェクト投球をして、自己最多に並ぶ12三振を奪うなど、6回1安打無失点と圧巻の投球を見せた。打っても初回に左翼へ2点適時二塁打を放つなど、4打数2安打2打点。リアル二刀流の本領を発揮した。
大谷は試合後、同じ岩手県出身のロッテ・佐々木朗にエールを送った。佐々木朗は、10日のオリックス戦で完全試合を達成するなど、17イニング連続パーフェクトを継続中。映像でも確認したといい「素晴らしいなと思いました。2試合連続で何イニングも(失点)ゼロで抑えるだけでも難しいですけど、ヒットを打たれないのはそれだけ素晴らしいボールを投げていることだと思う」と感心しきりだった。
圧巻の投球を続ける「令和の怪物」はチーム内でも話題となっているようで「みんな知っていたりする」という。現地の試合中継でもたびたび「オオタニと同じ岩手出身のササキ」と紹介。自身の持つ最速165キロにあと1キロと迫っているが、大谷は「これからも頑張って欲しいですし、自分でも励みにしたい」と活躍を願っていた。
大谷は同学年のカブス・鈴木についても言及。週間MVPに選出されたことには「選ばれたのか分からないですけど。ちょこっと聞いただけなので」とジョークを交えて笑いを誘った。「いいスタートを切れたので本人的にも気が楽になると思う。こっちはあまりいいスタートではない。最終的にいいように終わればいいシーズンだったと思えると思う。お互い、いいシーズンだったと思えるようにしたい」。今季の直接対決は組まれていない。
千葉県の熊谷俊人知事が完全試合を達成したロッテの佐々木朗希投手に対し、知事賞を贈る方向で検討していることを21日、明らかにした。
熊谷氏はこの日の定例記者会見で、「空前絶後の偉業で、県民に勇気や感動を与えた」と右腕をたたえた。県はこれまでスポーツの振興に貢献し、功績が顕著な人に知事賞を授与。熊谷氏は「素晴らしい選手がマリーンズに所属しているのはありがたい。継続してピッチングを見たい」と期待した。
佐々木朗は10日のオリックス戦(ZOZO)で20歳5ヶ月の史上最年少で史上16人目となる完全試合を達成。17日の日本ハム戦(ZOZO)でも8回まで1人の走者も許さない完全投球を見せていた。
ロッテは佐々木朗希投手の完全試合グッズ第2弾としてビックリマンシールデザイングッズをマリーンズオンラインストアにて22日から発売すると発表した。
今回が3回目で、1回目は入団直後の20年3月、2回目は20年11月のロッテオリオンズバージョン。今回が完全試合バージョンとなる。
佐々木朗は球団を通じ「1年目の時に作ってもらったオリジナルシールデザインが今回このような形でリニューアルされてグッズとして急遽、出していただけることを大変嬉しく思いますし、光栄です。グッズもたくさんの人が購入していただいていると聞いています。皆さまの期待に応えられるように頑張ります。頂いた特製のシールも大切にさせていただきます。作っていただきありがとうございました」とコメントした。
商品は
など。詳細は球団ホームページにて。
ロッテの佐々木朗が、当初の予定通り中6日で24日に京セラドーム大阪でのオリックス戦に先発することが決まった。井口監督が20日までの西武2連戦を終えた後に「予定通りいきます」と述べた。10日に史上最年少の完全試合を達成した相手との再戦になる。
佐々木朗は17日の日本ハム戦でも、8回を投げて降板するまで走者を1人も許さない快投を見せた。2度目の完全試合を達成すればプロ野球史上初となる。
開幕から中6日での登板が続いているが、井口監督は疲労を蓄積させないため、5月下旬からの交流戦までに登板間隔を空ける機会を設ける方針を示している。
ロッテの井口資仁監督(47)は21日、佐々木朗希投手(20)の24日のオリックス戦(京セラドーム)での先発が、正式に決まったことを明言。同戦以降の登板については、コンディションを見ながら決めていくプランも明かした。
現在、17日・日本ハム戦での8回完全を含め、完全試合を達成した10日・オリックス戦から日本記録の17イニング連続無安打中。さらなる記録更新に期待もかかるが、状態を優先し、登板間隔や球数は今後も本人と話し合っていく方針だ。
17日の登板以降、体調に異変はないため、次回については「予定通りいきます」と決定を明かした。ただ、オリックス戦以降は「次を見て、その先を考えようという話を朗希とトレーナーともしました。こちらとしてはとにかく1年間、しっかり投げきれるようにという話はしている」と、今後は登板間隔を空けていく可能性もある。
人の評価やイメージは実績の積み重ねによって定着するもので、一定の時間が必要だ。いくらインパクトが強くても色眼鏡で見られたり、年齢や経験の浅さによる先入観のために正当に評価されないこともある。
そういう意味では「令和の怪物」ロッテの佐々木朗希がプロ野球界での評価を不動にするのは、もう少し先だろう。何しろ、1年間を通して先発ローテーションで投げた経験もない、弱冠二十歳の若者だ。完全試合に続く8回パーフェクト投球を見せても、次回登板で打たれれば「若さが出た」「スタミナ不足」という声が挙がるに違いない。
しかし、データは雄弁に佐々木の高い能力を物語っている。勝利数(2勝0敗)や防御率(1.16)だけでは分からないポテンシャルを証明するのが下の表だ。
12球団投手成績の項目別ベスト5 | |||||
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項目 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
被打率 | 佐々木朗希 0.71 | ロメロ .125 | 岸孝之 .159 | 千賀滉大 .160 | 上茶谷大河 .161 |
WHIP | 佐々木朗希 0.29 | ロメロ 0.60 | 上茶谷大河 0.61 | 加藤貴之 0.72 | 石川歩 0.84 |
K/BB | 佐々木朗希 28.00 | 加藤貴之 11.50 | 上茶谷大河 11.00 | 石川歩 10.00 | 田中将大 8.50 |
K/9 | 佐々木朗希 16.26 | 山本由伸 9.90 | 上沢直之 9.72 | 千賀滉大 9.62 | 勝野昌慶 9.47 |
K% | 佐々木朗希 55.4% | 千賀滉大 28.4% | 山本由伸 28.0% | 勝野昌慶 26.3% | 上沢直之 26.2% |
2022年4月20日現在、規定投球回数に到達している投手は12球団合計で33人。その中で佐々木の数値がずば抜けている項目は少なくない。
被打率.071は完全試合を達成したことから、ある程度想像がつくとはいえ、2位のロメロ(ロッテ)が.125、3位の岸孝之(楽天)が.159、4位の千賀滉大(ソフトバンク)が.160ということから考えるとやはり驚異的だ。2021年に12球団トップだった山本由伸(オリックス)で.182だから、とんでもない数字であることが分かる。
1イニングあたりに何人の出塁を許したかを表す指標「WHIP」は0.29で12球団1位。これも2位のロメロが0.60、3位の上茶谷大河(DeNA)が0.61だからずば抜けている。
奪三振に関する数値はもっと凄まじい。佐々木は56三振を奪っており、2位で昨季の投手4冠・山本由伸の33奪三振を大きく上回る。念のため断っておくが登板数は同じ4試合だ。
奪三振と与四球の比率を表す「K/BB」は驚異の28.00。2位・加藤貴之(日本ハム)の11.50の約2.5倍の数値だ。いかに無駄なボールがなく、若いカウントで三振を奪っているかが証明されている。ちなみに昨年トップの山本由伸は5.15。佐々木も登板数が増えれば下がっていくだろうが、どのレベルまで維持できるか秋が楽しみだ。
K/9(奪三振率)は16.26で2位・山本由伸の9.90を凌駕している。3位・上沢直之(日本ハム)が9.72、4位千賀滉大が9.62と続いており、球界を代表する本格派右腕の倍近い三振を1試合で奪っている計算だ。
さらに対戦打者に占める奪三振の割合を示す「K%」は実に55.4%。これも2位・千賀滉大の28.4%、3位・山本由伸の28.0%の倍近い。「異次元」という言葉がピッタリの成績だ。
山本由伸が最優秀防御率のタイトルを獲得したのが2019年。昨年、投手4冠に輝き、今では「球界最高の投手」と評されるようになったが、それまでに3年を要した。佐々木も世間的に誰もが認めるまでには、もう少し時間がかかるだろう。
ただ、もしかしたら我々はすでに球界最高の投手を見ているのかも知れない。大谷翔平でもなく、ダルビッシュ有でもなく、山本由伸でもなく、日本が世界に誇る大投手のサクセスストーリーのプロローグを見逃してはならない。
現千葉ロッテマリーンズ監督の井口資仁は現役時代、3つの「野球人生」を経験した。それが現在の指導者としての得難い資質のもとになっていると言えるだろう。今回はそんな井口監督の野球人生を振り返ってみたい。
井口資仁の打撃成績とBB/K(ダイエー時代) | |||||||
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年度 | 試 | 本 | 打点 | 四球 | 三振 | 打率 | BB/K |
1997 | 76 | 8 | 23 | 24 | 67 | .203 | 0.36 |
1998 | 135 | 21 | 66 | 25 | 121 | .221 | 0.23 |
1999 | 116 | 14 | 47 | 38 | 113 | .224 | 0.34 |
2000 | 54 | 7 | 23 | 15 | 29 | .247 | 0.52 |
2001 | 140 | 30 | 97 | 61 | 114 | .261 | 0.52 |
2002 | 114 | 18 | 53 | 27 | 84 | .259 | 0.32 |
2003 | 135 | 27 | 109 | 81 | 81 | .340 | 1.00 |
2004 | 124 | 24 | 89 | 47 | 90 | .333 | 0.52 |
8年 | 894 | 149 | 507 | 321 | 702 | .271 | 0.46 |
井口資仁は青山学院大学時代、屈指の長距離打者と知られ、走攻守ともに抜群の成績を残して1996年、逆指名でダイエーに入団した。1年目は故障で出遅れたが即戦力として起用され、2年目には浜名千広から正遊撃手の座を奪った。ただ、打者としては時折長打は出るものの、早打ちで三振が多く荒っぽさが目立ち、選球眼を示すBB/K(四球数÷三振数)は.231という低さだった。
しかし、当時監督を務めていた王貞治は、欠点には目をつぶって井口を起用し続けた。自身が「王、王、三振王」と言われながらスタメンで使われて開花した経験を持つ王は、井口の将来性を信じていたのだろう。
転機となったのは2001年。鳥越裕介に遊撃のポジションを譲り、二塁にコンバートされた井口は全試合に出場し、盗塁王を獲得。ベストナインにも輝いた。2003年には27本塁打42盗塁、打率.340を記録。あと3本塁打でトリプルスリーという好成績で、BB/Kも0.5を上回っていた。そして2004年、かねてからMLB志向が強かった井口は自由契約となり、シカゴ・ホワイトソックスへと移籍する。
井口資仁の打撃成績とBB/K(MLB時代) | ||||||||
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年度 | 球団 | 試 | 本 | 打点 | 四球 | 三振 | 打率 | BB/K |
2005 | ホワイトソックス | 135 | 15 | 71 | 47 | 114 | .278 | 0.41 |
2006 | ホワイトソックス | 138 | 18 | 67 | 59 | 110 | .281 | 0.54 |
2007 | ホワイトソックス | 90 | 6 | 31 | 44 | 65 | .251 | 0.68 |
フィリーズ | 45 | 3 | 12 | 13 | 23 | .304 | 0.57 | |
2008 | フィリーズ | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | .286 | |
パドレス | 81 | 2 | 24 | 26 | 75 | .231 | 0.35 | |
4年 | MLB | 493 | 44 | 205 | 189 | 387 | .268 | 0.49 |
当時、ホワイトソックスのオジー・ギーエン監督は「スモールベースボール」を打ち出していた。2005年のチーム計53犠打はリーグ最多。NPBでは強打者だった井口だが、ホワイトソックスでは2番、7番を打つ“つなぐ打者”になり、11犠打を記録。リーグ優勝、そしてワールドシリーズ制覇にも貢献した。2年目には2番打者に固定された。MLBではこの後、2番最強打者の時代が到来するが、井口はその前の時代の“つなぐ”2番打者だった。
3年目のシーズン中にトレードで移籍してからはレギュラーにはなれなかったが、井口は規定打席に2回到達し、中軸ではないものの主力打者としてMLBで活躍した。日本から移籍した内野手としては2007年にレイズに移籍した岩村明憲とともに、数少ない成功例と言えよう。
2006年4月5日のブルージェイズ戦では、二塁を守る井口はマウンドの後ろに飛んだ打球をダイビングキャッチし、空中で向きを変えて一塁へ送球してアウトにした。このスーパープレーはアメリカのファンの間で今も語り草になっている。
井口資仁の打撃成績とBB/K(ロッテ時代) | |||||||
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年度 | 試 | 本 | 打点 | 四球 | 三振 | 打率 | BB/K |
2009 | 123 | 19 | 65 | 68 | 101 | .281 | 0.67 |
2010 | 143 | 17 | 103 | 98 | 114 | .294 | 0.86 |
2011 | 140 | 9 | 73 | 72 | 96 | .265 | 0.75 |
2012 | 140 | 11 | 60 | 53 | 99 | .255 | 0.54 |
2013 | 135 | 23 | 83 | 67 | 81 | .297 | 0.83 |
2014 | 109 | 10 | 49 | 40 | 74 | .238 | 0.54 |
2015 | 87 | 6 | 28 | 21 | 65 | .247 | 0.32 |
2016 | 79 | 5 | 34 | 19 | 50 | .257 | 0.38 |
2017 | 65 | 2 | 15 | 19 | 27 | .244 | 0.70 |
9年 | 1021 | 102 | 510 | 457 | 707 | .270 | 0.65 |
MLBではNPB時代とは異なる役割を見事にこなした井口は、2009年にNPBへ復帰。35歳となった井口は渡米前とは異なる『円熟した強打者』になっていた。それはBB/Kの数値にも表れている。フルスイングするので相変わらず三振は多かったが、同時に投球をじっくり見極め、2010年には0.86を記録。投手には非常に攻めにくい打者となっていた。
また、ロッテに復帰してからは中堅や若手選手に積極的にアドバイスした。2010年に韓国プロ野球(KBO)から移籍した金泰均は、井口を「尊敬する選手」と言い、井口から日本人投手の特長を聞いて開幕4番として活躍した。またこの年、新人ながらリードオフマンとして活躍した荻野貴司など若手選手にも積極的にアドバイスをして、下剋上によるリーグ優勝、日本一に貢献した。
自主トレでは、ロッテだけでなく多くの選手とともに自主トレーニングを行った。ランニング、筋トレから守備、打撃練習、ウェイトトレーニングと徹底的に鍛えぬき、その厳しい姿勢が若手選手に強い影響を与えた。2014年以降は規定打席に到達せず、次第に控えに回るようになる。守備位置も二塁から一塁に回るようになったが、試合に出なくても井口の存在感は変わらず大きいままだった。
2017年6月20日、現役最年長選手になっていた42歳の井口は現役引退を表明。ロッテ球団は監督就任を要請した。生え抜きにこだわらず他球団出身者や外国人など多様な野球人を監督に迎えてきたロッテだが、現役引退直後の選手を監督に据えたのは初めてのことだった(毎日時代の1954年に別当薫を選手兼任監督にしたことはある)。
井口はコーチ経験こそなかったが、ロッテ時代の後半は多くの選手を指導する立場になっていた。就任後はリーグ5位、4位、2位、2位と次第にチーム順位を上げたのは、指揮官として手堅い手腕を有していることを表している。
ダイエー時代にリーグ優勝3回、日本一を2回、ホワイトソックスでもワールドシリーズ優勝、そしてロッテではリーグ3位からの日本一といった下剋上も経験している。強いチームだけでなく、弱いチームでの勝ち方を知っていることも井口の強みだろう。
最近では佐々木朗希の育成、起用法で注目された。佐々木の育成は2019年から加わった吉井理人投手コーチ(現ピッチングコーディネーター)が担当し、きわめて慎重に行ってきた。佐々木は3年目を迎えた今季、4月10日のオリックス戦で28年ぶりの完全試合を達成した。
さらに、17日の日本ハム戦でも8回までパーフェクトと驚異的な活躍を見せたが、井口監督はあと3人のところで降板させた。これについては賛否の声が上がっているが、選手、コーチ陣、そして球団の信頼が厚いからこそ可能だった英断だと言えよう。選手を「活かし」「育てる」指導者である井口への期待はさらに高まっている。
完全試合の快挙を達成した次の登板で8回パーフェクト投球。2022年の日本球界を席巻するロッテ・佐々木朗希投手の名前が、米国でもとどろき始めている。米ヤフースポーツは「ロウキ・ササキとはいったい何者?2試合連続完全試合を達成するところだった20歳を“徹底解剖”」とのタイトルで特集記事を掲載した。
4月10日のオリックス戦で13者連続を含む19三振を奪い、NPBでは28年ぶりの完全試合を達成。続く17日の日本ハム戦でも14奪三振で8回パーフェクト投球を演じた。圧倒的な投球を続ける佐々木朗に、米メディアも興味津々だ。米ヤフースポーツはこの2試合の投球内容を紹介。「大学3年生の年齢であるササキが、100マイル(約161キロ)超の速球と強烈なスプリッター(フォーク)を駆使し、世界第2のリーグ(NPB)で人々の度肝を抜いている」と評し、「歴史的なパフォーマンスを重ねているこの日本のライジングスターについて学んでいこう」と“徹底解剖”している。
記事はまず、これまでの野球歴について言及。岩手・大船渡高時代から「人々を魅了し続けてきた」とし、2011年の東日本大震災で被災したこと、大船渡高3年夏の岩手大会決勝戦に出場せず大きな話題を呼んだこと、2019年ドラフト1位でロッテに入団したことや今季のパフォーマンスなどを紹介している。
そして、完全試合を達成した10日の投球は「現代プロ野球でおそらく最高の投球だったと言えるだろう」と評価する。セイバーメトリクスの先駆けと言われるビル・ジェームズ氏が作った投手指標「ゲームスコア」によると、佐々木朗の完全試合のスコアは「106」。MLB史上最高のゲームスコアは1998年にケリー・ウッド(当時カブス)が20奪三振で完封した試合の「105」、2015年にマックス・シャーザー(当時ナショナルズ)が17奪三振でノーヒットノーランを達成した試合の「104」がそれに続く。佐々木朗の投球内容は“MLB超え”を果たしていたことになる。
MLBではこれまでに完全試合が23度達成されているが、14奪三振が最多。連続三振はトム・シーバー(1970年、当時メッツ)、アーロン・ノラ(2021年、フィリーズ)、コービン・バーンズ(2021年、ブルワーズ)の10者連続が最多で、佐々木朗はこれらの数字でもMLBの記録を上回った。
さらに記事は「現在17イニング連続でパーフェクトを続け、(3日西武戦の8回2死から)52打者連続でアウトにしている」と説明。MLBの最高記録はヤスメイロ・ペティットがジャイアンツ時代の2014年にマークした46打者連続アウトだが、リリーフでの記録のため「ササキの記録ほど華やかでない」と指摘する。
次に佐々木朗の武器である速球とフォークを分析。今季自己最速の164キロをマークしている速球の平均球速は「98.9マイル(約159キロ)」で、2021年のジェイコブ・デグロム(メッツ)を除くメジャーの全先発投手を上回っているという。
フォークについてはエンゼルス大谷翔平投手と比較。佐々木朗は平均91マイル(約146キロ)、大谷は同約88マイル(約142キロ)で、あるMLB球団のスカウトの「彼は世界一の投手になる可能性がある。スプリッター(=フォーク)はショウヘイ・オオタニのものと同じぐらい優れている」というコメントを紹介している。
最後に佐々木朗がMLBに移籍する可能性について「まだ先になりそうだ」と見通しを示す。もし本人がMLBでプレーしたいと思っても、国際FAで海外の選手を獲得する場合の契約金制限の適用年齢が25歳未満であることなどから複雑な選択を強いられると指摘。ただ今後、国際ドラフトの導入などルール変更がなされればMLB移籍に影響があるかもしれないとも解説している。
野球もコーヒーも、奥が深い。ロッテのドラフト3位ルーキー・廣畑敦也投手は大のコーヒー好きでもある。そんな右腕は、「美味しいコーヒーを追求することは、ピッチャーがいい球を投げたいということと似たようなところがあります」と、野球との“共通点”があると語る。
寮には数種類の豆を持ち込み、自分で入れたこだわりの一杯を楽しむ。「コーヒーは毎日毎日表情が違って、お店で飲んだ豆を自分で入れても違う味がするんです」。美味しさはもちろん、正解がないという部分に惹かれた。性格的には1つのことをとことん突き詰めるタイプ。社会人2年目の時には好きなことを形にしようと「コーヒースペシャリスト」の資格も取得した。
これまで100種類以上飲んできた中で、気付いたこともある。「野球もコーヒーも数値は大事ですけど、それ以上にセンスを磨くことが大事」。コーヒーの味も数値化できるが、数値が良くても美味しくないこともあるという。
それは野球でも同じことが言える。「バッターにいくら得意なコースがあるといっても、100%打てる訳じゃない。ピッチャーはそこを攻めたりしないといけないし、そういうのを肌で感じないといけない」。回転数や変化量の数値が高くても、打たれることもある。バッターの打席での雰囲気や、狙い球、グラウンド上でしか感じ取れないことも少なくない。様々なデータを分析できるようになったこの時代の中でこそ、感性を大事にしていきたいと語る。
理想の投手像は、27球で完封する投手。「結局そういうのも、バッターが何を狙っているとか感じることができるセンスが大事になると思うんです。初球で終われば、27人に投げても、毎日投げれるんですよ」とニヤり。開幕1軍を掴むと、デビューから4試合連続で無失点投球。ピンチを断ち切る好救援も見せた。「シングルヒットは打たれてもOKというのは自分の中ではあります。僕は三振をたくさん取るタイプではないので、ファンの方々にはヒヤヒヤさせちゃうかもしれないんですけど…」と、ルーキー右腕はさらりと言ってのける。
将来は「もちろんコーヒー屋さんを持ちたいですね」とセカンドキャリアも設計済。探求心を忘れず、目標に掲げる新人王を目指す。