ロッテが3−4の9回に4点を奪い逆転勝ちした。途中出場の藤原の適時打で追い付き、安田の8号3ランで勝ち越した。安田は先制犠飛など5打点。3番手の西野が3勝目。日本ハムは石川直が崩れ、9年ぶりの最下位が確定した。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 7 |
北海道日本ハム | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 |
4番サード安田、決勝の3ラン含む5打点の大活躍−。ロッテが描いてきた未来図の正しさを示した。プロ5年目の秋、安田尚憲内野手(23)はいい顔で、胸を張った。
「こういう勝負どころで今年、全然打ってこれてなかったので。今年というか、1軍に入ってきてこういう場面でホームラン初めてだったので」。
嬉しかったです、と素直に言った。8回にミスで失点し、9回に追いつき、なおも2死二、三塁。石川直の浮いたフォークを力強く右翼席へ自己最多タイ8号弾を放り込んだ。球場のわずか一角、黒をまとうロッテファンのもとへ落としたのがまた、役者だ。
2年前、シーズンの多くで4番を任されながら、2割2分1厘、6本塁打に終わった。辛抱強く起用した井口監督に応えられない日々。マーティンから「打席で自信のない姿を見せるな」と指摘されるほど、弱く見えていた。4番での1発は20年5月14日以来、約2年4ヶ月ぶり。当時とは勝負強さも飛距離も違う。
どうしても同世代のヤクルト村上や日本ハム清宮と比べられる。「清宮も最近爆発してるんで、自分も負けないようにというのはありました」。18日現在で村上は55本、清宮は17本。安田も勢いなら負けない。「上を目指すためにも、一戦も負けられないと思うので」。指揮官を「頼もしくなってきますね」とうならせた一振りで、まずは4位西武と1差に。10月戦線へかっ飛ばす。
途中出場のロッテ藤原恭大外野手(22)が9回に同点適時打で輝いた。
下半身に張りがあった荻野の代わりに、4回から左翼守備についた。迎えた9回の打席。1死から代打角中が二塁打で出塁し、その代走和田が暴投で三塁へ。日本ハム内野陣は前進守備を敷いた。
「1番やっぱりやってはいけないのが三振だったので。低めのフォークを我慢する意識と、真っ直ぐをファウルぐらいの意識で」。
フォークボールが多い日本ハム石川直を相手に、2球見逃しであっさり追い込まれながら、我慢してフルカウントに。7球目の浮いたカーブを転がし、しぶとく二遊間を抜いた。
「何とか前に飛ばせてよかったと思います。いい打球ではなかったんですけど、作戦としてはいい1点かなと」。
その後、盗塁にも成功し、安田の3ランでゆっくりと戻ってきた。
背番号1で迎えた今季、この適時打がまだ16本目の安打だ。「今年は打撃が全然はまらなくて、今もそうですけど、苦しいシーズンでした。毎日苦しみながら、1軍で出るところを目指してファームでもやっていました」。
ただもう、経過は問われない段階にある。シーズンは残り11試合、求められるのは結果のみ。「僕もそうですけど、チームも目の前の試合を勝っていくだけだと思うので。そこに加わっていけるように全力でやっていきたいです」。大逆転への、最後のピースになりたい。
ロッテが8回の大ピンチを最少失点でしのぎ、逆転勝利へつなげた。
ゲレーロが離脱後、必勝リレーの8回に苦しんでいる。前日17日は8回に唐川がアルカンタラに同点2ランを浴び、一瞬で勝利が消えた。唐川は11日の楽天戦でも8回に逆転3ランを浴びていた。
そんな中で、同点で迎えた鬼門の8回。前夜に「ゲレーロが抜けてからなかなか定まらないというか、いる人でやるしかないので」と話していた井口資仁監督(47)は、この日は防御率1点台の西野勇士投手(31)に託した。
しかし近藤、清宮ともボール先行での連続四球。代打杉谷の犠打に勢いよくマウンドから駆け降りて捕球したが、補殺を狙った三塁へまさかの悪送球。1点を失った。直後には松川虎生捕手(18)がスクイズのファウル小フライを落球する失策も重なった。
井口監督も「ああいうところの凡ミスがもったいないかなと。四球、四球、バント処理失敗。虎生のミスもありましたし」と苦言を呈しながら、その後3三振で1失点で切り抜けたバッテリーの粘りを「あの1点の後にしっかり抑えられたというのが、また流れがこっちに来たのかなと思います。あそこで2点3点といっていれば、こういう展開にならなかったと思いますし」と評価した。
10日の楽天戦では無死一、二塁で緊急登板し、併殺などでわずか2球で3アウトを奪うことに成功。前日17日も6回に追加点のピンチを防いだ。走者は出しても、何とか最小限で食いとどめる−。この日で3勝目。右肘のトミー・ジョン手術から今季はリリーバーとして復帰した西野の粘りが、随所で効いている。
ロッテ安田尚憲内野手(23)が試合を決めた。
9回に同点に追いつき、なおも2死二、三塁。日本ハム石川直のフォークを右翼席へ運んだ。ガッツポーズをし、ダイヤモンドを回った。
負ければCS出場も遠のくチームを救う、決勝の逆転8号3ラン。「こういう勝負どころ今年、全然打ってこれてなかったので。今年というか、1軍に入ってきて、こういう場面でホームラン初めてだったので嬉しかったです」。序盤には犠飛と適時打も。5打点の活躍に白い歯を見せた。
前夜は同世代の日本ハム清宮が17号先制本塁打を放ち、三塁を守る自分の前を回っていった。「清宮も最近爆発してるんで、自分も負けないようにというのはありました」。この日はやり返し、井口監督も「ここぞという時にチームを救ってくれています」と目を細めていた。
ロッテ荻野貴司外野手(36)が4回裏の守備からベンチに下がった。
井口資仁監督(47)は試合後「ちょっと下半身に張りがあったので、早めに交代させました。走りの具合もあまり良くなさそうでしたし、大事に。まだ試合数も残っていますので」と報道陣に説明。試合中に本人からも申告があったことも明かした。
19日以降の出場については「今日の状態と明日の状態を見てどうするか。ここ(札幌ドーム)はどっちかというと、下が硬いので。負担もかかるので、その辺も明日の様子を見て決めたいと思います」と話すにとどめた。
荻野はこの日、初回に安打と盗塁をマークし、先制のホームを踏んだ。4回の走塁では2死での飛球でスピードを緩める場面もあった。
荻野は試合後、特に足を引きずる様子などもなく、帰りのバスに1人で乗り込んだ。
ロッテの小島は6回8安打3失点で試合をつくった。2回までに3失点したが、その後は粘って反撃につなげ「後半はバランスよく投げられた。それが初回からできていたら良かったのになと思う」と語った。
序盤に球が高めに浮いたのを試合の中で修正した。「立ち上がりにフォームがまとまっていなかった」と課題を挙げた。
ロッテ・藤原恭大外野手(22)が値千金の同点タイムリーを放った。
3−4で迎えた9回1死から代打・角中が右翼線に二塁打。代走・和田が暴投で三塁に進んだあと、途中出場の藤原が前進守備の二遊間を抜く同点適時打を放った。「いい打球ではなかったが、何とか前に飛ばせて良かった」と振り返った。このあと、安田の決勝3ランが飛び出した。
藤原のタイムリーは4月16日の日本ハム戦(ZOZOマリン)以来。今季2打点目。4年目の今季は1軍と2軍を行ったり来たりしていたが、シーズン大詰めの今、存在感を示したいところだ。
ロッテ・安田尚憲内野手(23)が決勝の8号3ランを放ち、チームを窮地から救った。
3−4で迎えた9回1死から代打・角中が右翼線に二塁打。代走・和田が暴投で三塁に進んだあと、途中出場の藤原が前進守備の二遊間を抜く同点適時打を放った。さらに2死二、三塁とチャンスを作り直すと、打席に安田が入る。カウント1−1からの3球目、真ん中高めのフォークを叩くと、打球はロッテファンが埋まる右翼席中段に飛び込んだ。
「前のバッターの人達がつないでくれた。何とか勝ち越したいなという気持ちで打席に立ちました。打った瞬間、行ったかなと。最高の感触でした」。
8回はイヤな形で勝ち越し点を献上した。3番手の西野が2四球のあと投前への送りバントを三塁に悪送球…。なおも続いた無死二、三塁のピンチを耐えたことで、ロッテに勝利の女神は微笑んだ。
安田は1回に左翼へ先制犠飛、3回に中前に適時打。1試合5打点は昨年4月1日の楽天戦(ZOZOマリン)でマークして以来の自身タイとなった。ここ4試合では15打数5安打で打率.333、2本塁打、11打点と手が付けられない。ただ4番を任されて2試合目だが、前日17日は4打数無安打2三振に終わっていた。
「昨日は仕事ができなかった。何とかリベンジできた。よかったと思います」。チームの借金は「1」に。クライマックスシリーズ圏内の3位楽天とは2ゲーム差。残り11試合、最後まで諦めない。
ロッテの4番・安田は右手を何度も突き上げ、一塁を守る清宮の前を通過した。1点ビハインドの9回、藤原の同点中前打で追いつき、なおも2死二、三塁で石川直のフォークを捉えた。打球は右翼席へ吸い込まれた。
「フォーク投手なのでゾーンを上げながら、高めにきた球を全部打つつもりでいた。甘い球を仕留められた」。
昨季の自己最多に並ぶ決勝8号3ラン。前日は32日ぶりに4番を任されながら結果を残せなかったが、この日は初回の左犠飛、3回の中前適時打を含め、自己最多タイの5打点と名誉挽回となった。
高校日本代表で同僚だった日本ハムの4番も6戦4発10打点と絶好調中。「清宮も最近爆発しているので、自分も負けないようにやっていきたい」。目覚めた安田も、最近4試合で2本塁打を放ち、11打点の荒稼ぎだ。
負ければ自力でのCS進出の可能性が消滅する恐れもあった中で、3位楽天に2ゲーム差と食らいつく。普段は安田に厳しい井口監督も「頼もしかった」と目尻を下げていた。
ロッテ・荻野貴司外野手が4回裏の守備から途中交代し、ベンチに退いた。
異変は直前の攻撃にあった。1点ビハインドの4回2死一、三塁で、高部の平凡な左飛を、左翼手・今川がポロリと落球。これによって同点に追いついたが、一塁走者だった荻野は本塁へ還れず、三塁でストップしていた。
試合後の井口監督は「下半身にちょっと張りがあったので、早めに交代させました。走りの具合もあまりよくなさそうだったので…」と説明した。
不動の1番打者として、現在5位のチームにとっては、逆転CS進出へ欠かせない戦力となる。佐々木朗、石川ら投手陣の柱が離脱中だけに、荻野の今後についても心配されるが、指揮官は「明日の状態を見て決めたい」と言葉を選んでいた。
ロッテ・安田憲尚内野手が、昨年のキャリアハイに並ぶ決勝8号3ランを右翼席へ運んだ。
同点に追いついた9回、なおも2死二、三塁で、石川直のフォークを完璧に捉えた。この日は初回の左犠飛、3回の中前適時打もマーク。21年4月1日以来となる自身2度目の5打点で、まさに「4番の仕事」を果たした。
「打順はあまり意識していないが、こういう勝負どころで本塁打が出るのは嬉しい」。
前日は8月16日以来の4番に起用されながら、チャンスで凡打を繰り返した。それでも、2日連続で4番に置かれ、見事なリベンジとなった。
ロッテの井口資仁監督が試合後、途中交代した荻野貴司外野手について言及した。
「ちょっと下半身に張りがあったので、早めに交代させました。走りの具合もあまり良くなさそうでしたし、大事に。まだ試合数も残ってますので」と状況を説明した。
荻野は初回に中前安打と盗塁をマークし先制のホームを踏んだ。4回には2死一、三塁から左翼への飛球を左翼手が落球。三塁走者・茶谷はホームインしたが一塁走者の荻野はスピードを緩める場面もあった。
指揮官は試合中に本人から申告があったことを明かし「今日の状態と明日の状態を見てどうするか。ここ(札幌ドーム)はどっちかというと下が硬いので負担がかかるので。その辺は明日の様子を見て決めたいと思います」と説明した。
ロッテが1点を追う9回に安田尚憲内野手の起死回生の3ランなどで4得点を奪い逆転に成功。3位・楽天とは2ゲーム差を死守した。
チームは1点を追う9回1死から代打・角中の右翼線二塁打と暴投で1死三塁とすると、続く藤原が二遊間を破る適時打。土壇場で同点に追いついた。
なおも2死二、三塁から4番・安田が石川直のフォークを完璧に捉える起死回生の8号勝ち越し3ラン。一振りで試合を決めた。
前夜の日本ハム戦では同い年の清宮が豪快な17号ソロをマーク。自主トレをともにしてきたライバルに目の前で本塁打を見せつけられたが、この日は試合を決める1発で“お返し”。「清宮も最近爆発してるので、自分も負けないようにというのはありました」と清宮の守る一塁ベースをまわると、安田は何度も右拳でガッツポーズした。
井口監督も「しっかりと場面場面での仕事もできてますし、ここぞという時にチームを救ってくれている」と称賛。チームは3位・楽天に2ゲーム差としCSを射程圏内とした。「ここからは1つも負けれないという気持ちでいかないといけない。でもやることは一緒なので1つ1つ勝っていくことが大事」と安田。残りは11試合。最後まで戦い抜く。
ロッテ・4番安田の豪快な一振りで逆転CS進出への望みをつないだ。9回。同点となり、なおも2死二、三塁。石川直のフォークを振り抜いた打球はロッテファンの陣取る右翼席へと飛び込んだ。8号決勝3ランに何度もガッツポーズして喜んだ。
「振った瞬間、いったかなと。最高の感触でした」。4番での本塁打は昨年5月14日・西武戦以来。初回は左犠飛で先制点。3回の中前適時打に続いて、自己最多タイの1試合5打点。井口監督も「頼もしくなってきましたね」と目を細めた。
前夜から4番で起用されて2試合目。しかし17日の試合は無安打で主砲の意地にかけて打ちたかった。しかも「清宮も爆発しているので、自分も負けないようにというのはありました」。日々成長する4番。残り試合、勝利へと導く打撃で応える。
ロッテの藤原恭大外野手が途中出場から、土壇場の9回に値千金の同点適時打を放ち、勝利に貢献した。
荻野の下半身の張りにより4回から途中出場。9回1死三塁。フルカウントと追い込まれて7球目。変化球に食らいついた打球はしぶとく前進守備の二遊間を破る同点適時打となった。
4月16日以来の打点を挙げた藤原。「何とか三振だけはしないようにと。いい打球ではなかったんですけど、何とか前に飛ばせてよかった」。執念の同点打に安堵をにじませた。
昨年の7、8月度の月間MVP賞を受賞した背番号1だが、今季は打撃の壁に当たっている。ファームでの調整期間では「今年は打撃が全然、はまらなくて…。今もそうですけど、何とか毎日苦しみながら、1軍で出ることを目指してやっていました」と苦しい胸の内を明かした。
打撃フォームも試行錯誤が続く中、無我夢中で打った値千金の一打。「明日も勝つことをチームの目標としてやっているので、そこに加わっていけるように、全力でやっていきたい」。自身は納得のいく打撃の形ができていないが、逆転CS進出のために、チームに貢献する覚悟をにじませた。
ロッテの安田尚憲内野手が同級生の清宮に負けじと、決勝本塁打を含む自己最多タイの1試合5打点で勝利に貢献し、安堵した。
4番に座り今季2試合目。前夜17日・日本ハム戦は4打数無安打に終わったが、この日は初回の先制犠飛に3回の中前適時打。同点の9回には2死二、三塁から石川直のフォークを振り抜き右翼席へ8号3ランを放った。
前夜は清宮が17号ソロを放ち「清宮も最近爆発しているので負けないように」と刺激を受けたロッテの4番。納得の仕事ぶりに「昨日は4番の仕事ができなかったので、なんとかリベンジすることができたのでよかったかなと思います」とホッと一息。井口監督も「頼もしくなってきましたね」と活躍をたたえていた。
ロッテは1点差の9回に打撃陣が粘って逆転。この日、勝利した楽天とは2ゲーム差のままとし、CS進出争いに踏みとどまった。井口監督は9回1死と追い込まれてから、しぶとさを発揮した打線をたたえた。
9回1死。代打角中の右越え二塁打が逆転の合図となった。1死三塁となり途中出場の藤原が中前適時打を放ち同点に。さらに2死二塁から中村奨が左前打を放ち2死二、三塁となり、安田が石川直のフォークを捉えマリーンズファンが陣取る右翼席へ8号決勝3ランで放った。
井口監督は「(藤原)恭大が食らいついてしっかりとやってくれた。その前の角(角中)もそうですけど、みんながつないでいい攻撃をしてくれました」と打撃陣を称賛した。
負ければ他球団の勝敗次第では自力でのCS進出消滅も可能性もあったが、回避できた。井口監督は「もう負けられないだけなので、相手のチームどうこうより、自分達の野球をしっかりして、勝てる試合をしっかりとものにしたい」と次戦に目を向けた。
ロッテは9回に鮮やかに逆転し、連敗をまぬがれた。CS圏内となる3位楽天との差を2ゲームのまま維持した。
3−3同点の8回3番手の西野が近藤、清宮に連続四球で無死一、二塁に。杉谷の投前バントを三塁へ悪送球し二走の近藤の生還を許し、万事休したかと思われた。
しかし、9回、日本ハム4番手の石川直を攻め立て、途中出場の藤原が同点適時打を放つと、2死二、三塁から4番安田が右翼へ勝ち越し3ランをたたき込んで、試合を決定づけた。
MLBのセーブ王という実績は、やはりダテではなかった。今季途中でロッテに入団したロベルト・オスナ投手は9月18日終了時点で26試合に登板、3勝無敗9セーブ、9ホールド、防御率0.69(26回、自責2)という圧倒的な数字を残している。今回はMLBでの経歴やセイバーメトリクスで用いられる指標に示された長所について紹介する。
オスナは2015年にブルージェイズでメジャーデビュー。8月終了時点で防御率1.87をマークしてシーズン途中にクローザーを務めた。最終的には68登板で7ホールド20セーブ、防御率2.58。20歳の若さでチームの地区優勝にも大きく貢献した。翌2016年もブルージェイズの抑えを務め、キャリア最多の72試合に登板。36セーブ、防御率2.68。2017年は防御率3.38ながら、39セーブ&83奪三振はいずれもキャリア最多だった。
2018年シーズン途中にアストロズへ移籍。2019年に38セーブでアメリカン・リーグのセーブ王に輝いた。ところが、2020年は4試合登板にとどまり、同年オフにアストロズを退団。その後は母国に戻り、メキシカンリーグへと活躍の場を移していた。今年6月にロッテに入団し、当初は中継ぎで登板を重ね、8月下旬にクローザーに配置転換。新天地でもその実力を発揮している。
MLBでの通算奪三振率は9.94。登板数が少なかった2018年と2020年以外の4シーズンは投球回を上回る奪三振数を記録している。通算の与四球率も1.57。制球力を示す指標の「K/BB」は3.50を上回れば優秀とされる指標だが、オスナは2017年に9.22を記録するなどキャリア通算でも6.33と高水準だ。
奪三振が多くて与四球は少ない投手は、セイバーメトリクスでは高く評価される。セイバーメトリクスの観点では、投手が安打を打たれるか否かは運に左右される要素が大きく、投手自身にコントロールできる部分は少ないとされるためだ。独力で三振を奪え、自滅して走者を出すことも少ないオスナは理想的な投手ということになる。
今季のNPBでの記録を見ても奪三振率は10.44(25回で29奪三振)。四球はわずかに3で与四球率も1.08とすぐれた数字を記録している。結果、K/BBは9.67という圧倒的な水準。四球から崩れることはなく、被打率.141と安打を許すことも少ない。1イニングに出した走者の数を示す「WHIP」も0.60と、そもそも走者を出すこと自体が稀になっている。
次に9月3日までの投球内容から、NPBでの結果球の球種割合を分析。150キロ台の中盤の速球を武器とするが、結果球となる割合は50%に満たない。代わりにツーシーム、スライダー、カットボール、シュートといった多彩な持ち球を、決め球としてそれぞれ10%以上の割合で投げ分けている。
ツーシームは150キロ超の速さで鋭く変化し、カットボールも140キロ台の中盤に達する。また、140キロ台前半のスライダーは、同じ方向に曲がるカットボールとは僅かに球速差がついており、130キロのチェンジアップで緩急もつけられる。抜群の球威を持ち、技巧派さながらの豊富な引出しとハイレベルな制球力を兼ね備えている点も攻略を難しくしている。
快速球と多彩な変化球を織り交ぜた「これぞMLBのクローザー」と形容できるオスナのピッチングは、まさに一見の価値あり。残るシーズンも少なくなってきたが、新たな“救世主”の非の打ち所がない投球内容に注目してみてはいかがだろうか。