ロッテ種市篤暉投手(24)が7日、沖縄・石垣島での春季キャンプで行われたシート打撃(ライブBP)に登板し、20年に受けたトミー・ジョン手術からの完全復活に向けて好投を披露した。
打者6人に対して計30球を投げ、安打性の当たりは安田尚憲内野手の2本のみ。力強い外角低めの直球で空振りを奪うほか、詰まらせてボテボテの内野ゴロも多かった。「まずは力強い真っ直ぐを投げること。指にかかったボールは良かったですけれど、まだまだです」。肩や肘に負担のかからない下半身主動の新フォームで試行錯誤しながらも、上々のアピールとなった。
19年には日本人最多タイとなる23イニング連続奪三振を記録するなど、8勝を挙げて次期エース候補に名乗りを挙げた。だが、20年9月に右肘を手術。昨年8月には1軍に復帰して先発して3回3失点で降板し、登板はわずか1試合。今オフにはメジャーリーガーも集う米国の施設で約10日間の自主トレを行い「動作解析やピッチングデザインもしていただいた。『この球を増やして』とか」と収穫も得た。「変化球はもうちょっと決まれば…。特にスライダーが緩かったので、ブルペンでしっかり調整していければ。2年間は投げていなかったですし、投げて、痛いを繰り返していたので苦しかった。とりあえず結果だけを求めて、ローテをつかめるように頑張りたいと思います」。八戸工大一(青森)からドラフト6位で入団してから7年目の今季、再び先発ローテーション入りを狙う。
シート打撃を見守った吉井理人監督(57)も「良かったです。しっかり腕も振れていました。良い時の状態に近づいてきていると思います」と納得の表情を見せた。さらに「成長途中でケガしちゃったので、あれ(活躍時)以上伸びてもらわないと。まだその途中という感じです」と復活だけでなくエース級への飛躍に期待を寄せた。
田村藤夫氏(63)のキャンプ取材最終日は、宜野湾を訪れた。このキャンプ取材で楽しみにしていたのが、DeNAドラフト1位高卒ルーキー・松尾汐恩捕手(18=大阪桐蔭)の動きだった。
松尾の捕手としてのプレーは本球場での1カ所バッティングで見ることができた。阪口とのバッテリー。ブルペンでの動きが見られるかもしれないと予想していた。それはかなわなかったが、図らずも三塁ベンチから、ホームで構える松尾のキャッチングを、ほぼ真横から観察できた。
松尾を見るにあたって、私の頭の中には高卒ルーキー捕手に対し、色んなバロメーターがちらちらと浮かんだ。まずは、昨年のロッテ松川の存在があった。私は22年2月、糸満でのブルペンで松川を見て、変化球のキャッチングに疑問を投げかけた。変化球を受ける時にミットが下を向くことについて、球審からボールが見づらくなると指摘した。
しかし、開幕してからの松川の活躍は目覚ましく、佐々木朗希のフォークを見事に止め、1軍での経験を積んだ。私としては、その反省が頭をよぎる。でも、と思う。そうそう高卒ルーキーが連続して台頭するとも思えない。そんな固定観念が邪魔をして、フラットな評価ができるかなと、色々自問自答しながら松尾を見ていた。
やはり、という表現は変な気がするが、松尾のミットは地面につきそうなほど下がっていた。横から見ているため、下がっているのは間違いない。となると、どうしても真っ直ぐのキャッチングで差し込まれる。ボールに負けてしまう、とも言い換えることができる。
具体的に言うと、本来の理想的なキャッチングのポジションよりも、わずかに体寄りでキャッチングしている。感覚的な部分だが、おそらく5センチ〜10センチくらいだろう。その分だけ投手寄りでキャッチングすれば、次の動作へも移行しやすくなる。
私のように、長年キャッチャーだけを見つめてきたものからすれば、「こうあるべき」という1つのイメージがある。そこと比べ、わずかでもズレがあると気になってしまう。私のイメージだけが正解ではないと思うが、経験からくる1つの目安として、キャッチングの姿勢は気にして見てきた。
どのポジションが適正か正解かは、各々のバッテリーコーチの意見もあるだろう。言えるのは、差し込まれて受けてしまうと、キャッチングも苦しくなり、盗塁などの対処もわずかに遅れる。松尾ならば、この微差を修正することはそれほど難しくないだろう。
捕手としての動きは違和感ない。正確にはまだ高校生だが、プロの1軍に入って、明らかなレベルの違いは見受けられない。強いて言えば、「ランナー一塁」などの声がけが、ちょっと遠慮があるというか、照れがあるのかな、という印象を受けた。周囲の空気感を感じながら、自分だけ突出して声を張れないと感じているかもしれない。
こういうところは、初々しくもあり、こちらも、あら探しとは思っていないが、何か違いはないかと無意識に探しているから感じる部分かもしれない。まだ18歳。思い切って大声で指示をしても、何も問題はない。慣れるにつれて解決されることだろう。
練習最後に、サブグラウンド付近で松尾と話す機会があった。「どう、慣れた?」と聞くと「はい、何とかやってます」と、にこやかな返答だった。今は周囲についていくことで精一杯だろう。なかなかペースもつかめず、精神的、肉体的に目いっぱいの中での毎日だと思う。
それでも、こうして1日1日と1軍キャンプをルーキーイヤーに味わうのは、本当にすごいことであり、貴重なことだ。私の1軍昇格は4年目だった。
仮に、私が1年目から1軍キャンプを経験していたらと思うと、それは何よりのアドバンテージになっていただろうなと感じる。「あれが1軍の雰囲気か」「1軍キャンプの流れはこんな感じかな」と予想がつく。今後、たとえ2軍落ちしても、戻るべき場所として具体的にイメージができる。これは経験が有るのと無いのとでは大きな違いだ。
昨年の松川の出現によって、一気に高卒ルーキー捕手への期待値が変わった感がある。今年は現状では中日山浅(龍之介、18=聖光学院)と松尾に期待がかかる。松尾、山浅が少しでも長く1軍キャンプを経験し、1軍公式戦出場を果たせば、ますます高卒捕手への評価は上がる。
捕手は育成に時間がかかる。これは、学ぶべきことが多いという事実に即した鉄則であると、私は信じている。その一方で、ルーキーイヤーに1軍を経験した捕手が、今後どれだけの伸び率で正捕手へ肉薄していくか、そこは未知数だ。
「いやいや、捕手の高卒ルーキーは簡単じゃないよ」。プロ球界ではずっと言われてきたセリフだ。この常識が、いずれ変わっていくことも十分にあり得るだろうなと、松尾を見ながらそんなことが頭に浮かんだ。
ロッテは7日、23年公式戦チケットの販売日程を発表した。今季も全席指定席でダイナミックプライシング(価格変動制)にて、スペシャルシート抽選販売、ファンクラブ先行販売、Mチケットセブン−イレブン先行販売、その他Mチケットオンラインおよび各種プレガイドでの一般販売を予定。また、新設されたフロア5(2階席)3塁側ogawaキャンプBOXも3人席、4人席を一般販売する。
公式戦チケット販売開始スケジュールは以下の通り。
なお、7月6日の東京ドーム開催の販売スケジュールは、決定次第、球団公式サイトで発表される。
ロッテのドラフト4位高野脩汰投手(24=日本通運)が新人一番乗りで実戦形式のシート打撃に登板し、打者3人に全16球を投げて“完全”に封じた。
11スイング中、前に飛ばされたのも2回のみ。最後も高めの直球で3つ目の空振りも奪った。「高めに強い球を投げるのが特徴なので、後ろに飛ぶとかフライになったりは良かったと捉えていいと思う。このまま実戦慣れしていきたい」。元レッドソックス岡島秀樹のような豪快フォームで即戦力左腕としてアピールを続ける。
池田がシート打撃の初打席で“チーム第1号本塁打”を放った。森の直球を振り抜くと名前の来翔(らいと)通りに右翼席に跳ねた。「風です」と謙遜も「右方向に強い打球をイメージしていたが、手応えは良かった。下半身や体幹を強化してスイングの無駄を省いてきた成果」。好物の肉の脂身を控えて体重も3キロ減。「石垣牛も量は控えています」とレギュラー獲得へ安打を量産する。
ロッテ佐々木朗希投手がキャンプ3度目のブルペン入りし、フォークなどを含む全40球を投げた。
捕手にスライダーの曲がりなどを確認しながら投球し、時折笑顔を見せる場面も。次は9日にシート打撃に登板する予定だ。吉井監督は前回時に「スライダーはプ〜だね」と独特な表現で課題を挙げたが「今回も半分はプ〜。徐々に何かコツをつかんできた」と成長を評価。体力面に関しても「強くなったなぁという感じは見ていて思います」と見守った。
WBC公式サイトは6日(日本時間7日)、第5回大会のルールを発表した。
投手は最少でも14人、捕手は2人必要。ワンポイント救援は禁止され、最少でも打者3人かイニング完了まで登板となる。延長は10回から、無死二塁でタイブレーク。前回大会は一、二塁だった。リプレー検証を要求できるチャレンジ制度は準々決勝まで1度、準決勝以降は2度認められる。コールドは5回15点差以上、7回10点差以上。MLBで今季から始まるシフト制限やピッチクロックなどは採用しない。
球数制限は前回大会と同じ。1次ラウンドは65球、準々決勝は80球、準決勝以降は95球。50球以上で中4日、30球以上か2連投で中1日が必要となる。指名投手枠は最大10人まで登録可能。準々決勝、準決勝で2人まで交代できる。1度外れた選手は再登録できない。
プロ野球の榊原定征コミッショナー(79)は7日、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられる5月8日以降は、マスクなしで観戦できるようにする考えを示した。「(マスクなしに)したいと思ってます。自主的にする方は、それでいいですが。声出し応援もOK。野球は、声出しと鳴り物があると全然違いますから」と話した。この日は中日、DeNA、ヤクルトのキャンプを視察。前日と合わせ、就任後初のキャンプ視察を終えると「(WBCで)優勝した勢いでペナントが始まれば。プロ野球が盛り上がるチャンス」と、侍ジャパンに期待していた。
ロッテ佐々木朗希投手(21)が7日、沖縄・石垣島キャンプ3度目のブルペン入りし、フォーク、スライダーを含む全40球を投げた。
小野晋吾投手コーチ(47)が丁寧に手でもんで滑りを緩和させたWBC公式球を受け取ると、立ち投げで少し多めに投げてからスタート。受けた捕手にスライダーの曲がりなどを確認しながら投球し、時折笑顔を見せる場面もあった。次は9日にライブBP(シート打撃)に登板する予定だ。
3月開催のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表のロッテ・佐々木朗希投手(21)が7日、沖縄・石垣島キャンプで3度目のブルペン入り。変化球を交えて40球を投じた。日本代表の投手コーチを兼任する吉井理人監督(57)は新しい握りを試すスライダーについて「プー(駄目)=vとしてきたが、この日は「今日は半分プー=vと半歩前進したと認めた。体重は2020年の入団時から7キロ増の92キロへ。スケールアップする令和の怪物が世界に挑む。
和の怪物は日を追うごとに進化する。最高気温23度。快晴の石垣島で佐々木朗が第2クール初日に3度目のブルペン入り。WBC使用球を用いて40球を投じ、そのうち14球は、今オフから違った軌道を求めて新しい握りを試すスライダーを投げ込んだ。
「今日は半分プー=Bでも、半分はうまくいっていた。徐々にコツをつかんできたんじゃないかな」。
佐々木朗の取材対応はなかったが、捕手の後ろから見守った吉井監督は進化を実感していた。今キャンプで初めてブルペン入りした2日には、スライダーについて「まだプー≠ナすね。これからのボールだと思います」と指摘。駄目を「プー」と表現する吉井流≠ナ精度の向上を求めていたが、「半分プー=vで半歩前進したことを認めた。
2度目のブルペンに入った4日には、日米通算201勝を誇る野茂英雄氏(54)=パドレス・アドバイザー=からフォークボールの握りに関してアドバイスを受け、この日はスライダーで進化。滑りやすいとされるWBC使用球に確実に順応している。
岩手・大船渡高から入団4年目。ポテンシャルを最大限に引き出すための体が出来上がってきた。球団発表で入団時から190センチ、85キロだった体重は今季7キロ増加して92キロとなった。米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平投手(28)は入団時193センチ、86キロから4年目で92キロになっており、匹敵するペースでスケールアップしている。高校時代から見てきたの柳沼強担当スカウトは「体が大きくなって元々持っていた能力を出せるようになってきた。まだまだ伸びます」とさらなる成長に期待した。
今後は9日にフリー打撃に登板し、15日のヤクルトとの練習試合(糸満)で初実戦を迎える予定。「なるべくたくさん投げて不安をなくしていく」と佐々木朗。世界一へ、前進あるのみだ。
体力面の進化には指揮官も目を細める。吉井監督は佐々木朗について「去年と比べて、強度の高い練習をした次の日もパフォーマンスが落ちていない。体力がついた。強くなった感じがする」と明かした。今季は中6日のペースで先発し、規定投球回(143回)に到達することを目標としている。昨季は129回3分の1だったが、体力が備われば目標達成も可能だ。
ロッテ・松川虎生捕手(19)は村田塾≠ナプロ初本塁打を目指す。昨季76試合に出場した高卒2年目。フリー打撃の際に今季から打撃コーチに就任した通算360本塁打の村田氏から熱心な指導を受けた。
速球に差し込まれていたことから、打つポイントを前にするよう助言されると、一発こそ出なかったが安打性の当たりを連発。「プロ初本塁打もそうですし、打率は2割5分を目指します」と力を込めた。
3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表に名を連ねるロッテ・佐々木朗希投手(21)が沖縄・石垣島キャンプで3度目のブルペン入り。WBC日本代表の投手コーチを兼任する吉井理人監督(57)が見守る中、スライダー、フォークボールを交えて40球を投じた。
2日には49球、4日には63球を投げている。「なるべくたくさん投げて不安なくしていきたい」と話していた通り、滑りやすいとされるWBC球の扱いに慣れるため、熱心に投げ込んでいる。
今後は9日にフリー打撃に登板し、15日のヤクルトとの練習試合で初実戦を迎える予定。
師匠の言葉に熱心に耳を傾け、必死にバットを振り込んでいる。ロッテのドラフト5位・金田優太内野手(17)=埼玉・浦和学院高=は、沖縄・石垣島キャンプで、内田順三臨時コーチ(75)の指導を受け、得意の打撃に磨きをかける。
石垣島キャンプは5日に第1クールが終了。17歳の左打者は「今のところすごく順調かなと思います」と充実した日々を過ごしている。キャンプでは内田道場≠ノ入門中だ。
埼玉・浦和学院高出身で、183センチの大型遊撃手。4強入りした3年春の甲子園大会では17打数11安打を放った。秀でたバットコントロールと勝負強さの持ち主だ。自慢の打撃をさらに向上へ。金田は「内田さんに右肩が入り過ぎないようにと、ここ(石垣島)に来てから教わっている。修正方法も教えていただいた」。投手側の右肩が内側に入り過ぎると、バットが出にくくなり、速球に対して差し込まれてしまう。
そのため、癖を直そうと、一般的にティー打撃は斜め前方からトスされたボールを打ち返すが、金田は背中側からトスされた球を繰り返して打ち続けている。背後からのトスは「右肩が入ってしまうと、ボールが見えなくなる」といい、内田氏が描く理想のフォームに近づく。
臨時コーチ就任時に「マリーンズには将来有望な若い選手がたくさんいる。そんな選手達に少しでもこれまでの経験を伝えることができればと思っています」と語っていた内田氏。現役時代はヤクルトで小さな大打者≠ニ呼ばれた若松勉氏とともに、当時コーチだった中西太氏の打撃理論を学んだ。中西道場≠ニ呼ばれるほどの猛練習に耐えながら、下半身主導でバットを体の内側から出すスイングを目指した。現役引退後は打撃コーチとして、広島で前田智徳、巨人で阿部慎之助らを指導した。今年からロッテの臨時コーチに就任し、金田ら若手を見ている。
5日のフリー打撃では38スイング中2本の柵越えをマークするなどバットの芯にしっかりミートした鋭い打球を連発している。鍛錬の成果を示し「力をマックスに使うというよりは、ボールに当たるまでを意識してやっている」と汗を拭った。
昨季は4選手が交代でスタメンに名を連ねるなど固定できていない遊撃。「まずは怪我なく、体づくりをする。その中で1軍出場という目標を立てています」と意気込む金田が遊撃争いに割って入るかもしれない。
ロッテは侍ジャパンの佐々木朗が今キャンプ3度目のブルペン入り。WBC使用球でスライダー、フォークも交えて40球を投げ、途中からは打者も立たせて軌道を確認した。
吉井監督は「投げる日以外に自分でやる練習も強度の高い練習をして次の日もパフォーマンスが落ちていないので、かなり体力はついてきている」と評価。9日に予定されている実戦形式のライブBP登板への準備は整った。
WBCの主催者は6日(日本時間7日)、3月に行われる第5回大会のルールを公式サイトで発表した。出場20チームには1月中旬に通知済みで、昨季から大リーグで導入された先発投手が降板後もDHで継続出場が可能な「大谷ルール」を初採用。大リーグで20年から導入された「ワンポイント禁止」も初めて採用される。投手は最低でも打者3人と対戦するか、イニング完了まで交代できない。
タイブレークも大リーグ同様、延長10回から無死二塁で始める。前回の17年大会は延長11回以降で無死一、二塁だった。投球間の時間制限「ピッチクロック」など、今季導入されるメジャーの新ルールは採用しない。
球数制限は前回までの大会と同じ。1次ラウンドは65球、準々決勝は80球、準決勝以降は95球で、打席中に制限数に達した場合は、その打席完了まで投球できる(敬遠は球数に含まない)。50球以上では中4日、30球以上では中1日の登板間隔が必要。3連投以上はできない。
スポニチ史上最高齢?の58歳で初めてプロ野球担当記者となり、初めてロッテの沖縄・石垣島キャンプを取材する記者の奮闘記「アラ還記者走る」。第2回は同じ福島出身の佐藤都志也捕手(25)に密着した。現場に来たことで分かった捕手の過酷な練習やチームへの献身ぶり。親子ほども年齢が離れた若武者から多くを学んだ。
いつも汗びっしょり。精力的に動き回る佐藤都には、そんなイメージがある。全体練習での守備、打撃、走塁に加え、ブロッキング、スローイングなど捕手の専門技術の練習、ブルペンに入って投手陣のボールを受け、コミュニケーションも図る。日によっては特打や特守もあり、さらに佐藤都の場合は内野手のメニューも加わる。
相当きついだろうなと想像しながら質問すると、「自分の課題をクリアするためにやっているので大変とか、練習が長いとかいう感覚はないです。全体より個人練習の時間が長いので充実していますよ」とサラリ。年齢を言い訳に、やらない口実ばかりを探しているアラ還記者には耳の痛い答えが返ってきた。
福島支局時代に小学生から社会人まで幅広い年代の野球を取材した経験はあるが、初めてのプロのキャンプ取材で感じたのは、自分が知っているものとは比較にならない練習量と時間の長さ。プロ野球担当になる前に抱いていたイメージとは全く違っていた。長いシーズンを戦い抜くための準備期間なので、当然と言えば、当然なのだが、重いプロテクターを着用するなど佐藤都に限らず縁の下でチームを支える捕手の練習は地味で過酷。投手や主砲が脚光を浴びることが多い競技において、捕手というポジションにスポットを当てるなら体を張って伝えてみる価値はあると思った。
佐藤都ほどの打撃があれば、コンバートという選択肢もあるはずだが「捕手で勝負したい気持ちは強い」と断言する。複数ポジションについては「僕が生きる道。強みでありウイークポイントでもある。試合に出られる可能性は高くなるけど、色々削られる部分を自分で補っていかなくてはいけない。でも、それを大変だとは思わない」と険しい道もいとわない覚悟も示す。
33歳年上のアラ還記者に“プロ”としての姿勢を教えてくれた佐藤都は、最後にキャッチボールにも付き合ってくれた。近年では少ない“打てる捕手”として活躍してくれることを、期待している。
福島支局でキャリアをスタートさせた記者にとって佐藤都の母校・聖光学院には思い入れが強い。01年夏の甲子園に初出場した際も取材。福島大会決勝の翌日、休みだった記者が当時5歳だった長男を連れて伊達市のグラウンドを訪れると、斎藤智也監督、横山博英部長から、お土産にスポーツタオルをもらった。そのグラウンドに掲げてある「不動心」の言葉。ずっと「動じない心」だと思っていたが、佐藤都は「全部、説明すると長くなるので簡単に言うと、感謝の気持ち…みたいなことで、それは今も忘れてないです」。33歳下に教わってばかりだ。
この日は第2クール初日で佐藤都は午前8時15分からサブグラウンドで行われたアーリーワークにも参加。全体練習のシートノックでは「野球人生で初めて」という二塁も守った。フリー打撃では39スイングで4本の柵越え。三塁でノックを受けている時にイレギュラーした打球が左頬に当たるアクシデントで鼻血が出たが、ベンチで処置してすぐに復帰し、ライブBPでは捕手も務めた。午後も室内練習場でのノック、ティー打撃など精力的に汗を流した。
ロッテは2年目の池田が今季の“チーム1号”を放った。実戦形式で投手と対戦するライブBPの第1打席の初球。森の外角高め直球を右翼席に運び「風です。風」と謙遜した。
オフにウエートと食事による肉体改造に着手。よりスイングが力強くなった。内野の競争は厳しいが「出場できるならポジションにはこだわらない。1年間、ずっと試合に出られるように、何とか結果を出していきたい」と口元を引き締めた。
ロッテの沖縄・石垣島キャンプは7日、第2クールに突入。実戦形式のライブBPが行われ、プロ2年目の池田来翔内野手(23)が今季の“チーム1号”となる一発を放った。
ライブBPの第1打席初球だった。森遼大朗(23)の外角高めの速球を捉えると打球は右翼外野席の芝生で弾んだ。池田は「風ですよ。風」と謙遜したが、右方向への強い打球は意識して取り組んでいたことでもあり、まんざらでもない様子だ。
ロッテJr.出身で初めてロッテに入団した選手。1年目の昨季は11試合の出場にとどまり、「プロの1軍は本当に凄い」と実感。オフには筋力トレと食事による肉体改造に着手し、打撃フォームも下半身から力を伝えつつコンパクトに変更。パワーがアップしたことでコンパクトでも力強いスイングが可能になり、その成果が結果にも表れた。
今年の新人野手は全員が内野手、しかも遊撃手と本来の池田のポジションと重なる。競争は激化しているが、「出場できるならポジションにはこだわらない。1年間ずっと試合に出られるように、何とかこれからも結果を出していきたい」と口元を引き締めた。
ロッテの公式チャンネル「千葉ロッテマリーンズ」が7日、日本復帰した沢村拓一投手(34)の早朝筋トレに密着した。
午前6時20分に宿舎を出発し、誰もいない沖縄・石垣島のトレーニングルームで黙々と汗を流す様子を紹介した。
その中で米国で会った有名人の話になり、沢村は「シュワルツェネッガーさん」と、映画「ターミネーター」シリーズなどで有名な俳優で、元カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーと遭遇したと明かした。
カナダ・トロントのホテルロビーで「ゴリッゴリのボディガード付けていた」といい、「メチャ興奮した。テレビで見ていたハリウッドスターだから」と続けた。
早朝からハードなウエートトレーニングに励む沢村。筋肉の神様がご褒美に引き会わせてくれたのかもしれない。
ロッテの沖縄・石垣島キャンプは7日、第2クールに突入。実戦形式のライブBPが行われ、ドラフト4位左腕の高野脩汰投手(24=日本通運)が新人一番乗りで登板し、打者16人に実戦形式のシート打撃に登板し、打者3人に16球を投げて安打性ゼロと好投した。
元レッドソックスの岡島秀樹を彷彿させるダイナミックなフォームから力のあるボールを投げ込んだ。16球中7球がフライ性のファールとなり、空振りは3球、前に飛んだのはバントも含めて2球だけ。吉井監督は「激しいなと思いました」と独特の表現で評価した。
即戦力として期待される左腕は「対バッターの感覚を取り戻すことを意識して臨んだ。ゾーンに強い球を投げられたのは良かった」と振り返り、「あとは細かなコントロール。このまま実戦慣れしていければ」と先を見据えた。
ロッテは7日、2023年公式戦チケットの販売スケジュールを発表した。今年も全席指定席でダイナミックプライシング(価格変動制)のスペシャルシート抽選販売、ファンクラブ先行販売、Mチケット セブン―イレブン先行販売などMチケットオンライン、各種プレガイドでの一般販売を予定している。また、新設されたフロア4(2階席)3塁側ogawaキャンプBOXも3人席、4人席を一般販売する。
4月4日〜5月24日の計21試合はファンクラブ先行販売が2月25日から、Mチケット セブン―イレブン先行販売は同28日からで一般販売は3月1日から。5月30日〜7月5日の計17試合はファンクラブ先行販売が4月29日から、Mチケット セブン−イレブン先行販売が5月2日から、一般販売が5月3日から、7月15日〜8月13日の計14試合は、ファンクラブ先行販売が6月3日から、Mチケット セブン−イレブン先行販売が6月6日から、一般販売が6月7日から。8月22日〜10月2日の計19試合はファンクラブ先行販売が7月8日から、Mチケット セブン−イレブン先行販売が7月11日、一般販売が7月12日からとなっている。なお、7月6日の東京ドーム開催の販売スケジュールは決まり次第、球団公式サイトで発表される。
WBC日本代表のロッテ・佐々木朗希投手(21)が7日、石垣島キャンプで3度目のブルペン入り。WBC使用球で計40球を投じ、吉井監督から「半分プー」の評価をもらった。
ブルペンには「お〜いい球〜!」と捕手の声が響いた。「ウッ」と声を上げながら腕を振り続ける朗希のスライダーに、指揮官は「今日は“半分プー”でしたね。半分はうまくいってたので徐々にコツつかんできたんじゃないかな」と評価。2日のブルペンでは変化球に対して手応えを口にしていた朗希だったが、吉井監督は「まだプーです」と表現。合格点には届かない状態であると話していたが、この日は半分“合格点”だった。ブルペンでの強度についても「体力は落ちてないし、かなり体力がついた。今のところ順調」と目を細めた。
9日には実戦形式の打撃練習に登板する予定で、その後は15日のヤクルト戦(糸満)での登板が有力。スライダーを新たな武器とし世界の舞台で戦う準備を整える。
WBC公式サイトは6日(日本時間7日)、3月の大会で採用されるルールを発表した。
30人のメンバーの中には14人以上の投手、2人以上の捕手を登録することが義務。10人の投手を指名投手枠に登録が可能で、準々決勝で2人、準決勝でさらに2人まで入れ替え可能となった。投球制限は前回大会と同じで1次Rが65球、準々決勝が80球、準決勝以降が95球。50球以上投げた場合は中4日、30球以上か連投した場合は中1日の間隔が必要になる。大会前の強化試合は、49球までしか投げることが出来ない。
救援投手は打者3人に投げるか、イニングを終えるまで交代できない「ワンポイント禁止」や、延長10回から無死二塁で始まるタイブレークなどメジャーで昨季採用されたルールで行う。全試合で採用される指名打者のルールについては「公認野球規則 5・11」に則るとされており、先発投手が降板後も指名打者に残れる「大谷ルール」も採用された。
ロッテは7日、2023年公式戦チケットの販売スケジュールが決まったことを発表した。
今年も全席指定席でダイナミックプライシング(価格変動制)で、スペシャルシート抽選販売、ファンクラブ先行販売、Mチケット セブンイレブン先行販売、その他Mチケットオンライン、各種プレガイドでの一般販売を予定。また新設されたフロア4(2階席)3塁側ogawaキャンプBOXも一般販売する。
チケットスケジュールについては球団チケット特設サイトを要確認。
ロッテの7年目右腕・種市篤暉投手が7日、石垣島キャンプでシート打撃に登板。打者6人に計30球を投じ、3安打。20年に受けたトミー・ジョン手術からの完全復活へ、猛アピールを続ける。
20スイング中打たれた安打は3本。それでも力強い直球で空振りも奪い「強い真っ直ぐを投げるってところで、指にかかるところがすごいよかった。でもまだまだ精度は足りないかな」と振り返った。
19年には8勝を上げた次期エース候補と期待されたが20年9月にトミー・ジョン手術を受け昨季4月に2軍で実戦復帰。昨年8月には1軍復帰し先発も、3回3失点で降板していた。今季は再び先発ローテ復活を目指す右腕は「変化球はもうちょっと決まれば良かったかなと。スライダーは特に緩かったのでそこは次回のブルペンでしっかり調整していければ。とりあえず結果だけを求めて。ローテ?めるように頑張りたい」と完全復帰へアピールした。
ロッテのドラフト4位・高野脩汰投手(日本通運)が7日、石垣島キャンプで新人一番乗りでシート打撃に登板。打者3人に計16球を投じ1安打と好アピールした。
最初の打者には4球目に左前方向へ運ばれたが、力強い投球で、11スイング中3つの空振りを奪うなどアピール。上から投げ下ろす豪快なフォームが特徴の左腕は「後ろに飛ぶとかフライになったりはよかったと捉えていいと思う。このまま実戦で投げて慣れていければ」と意気込んだ。
高野の投球を見た吉井監督は「激しいなと。見た感じの印象。(フォームは)ぎくしゃくしてるように見えたけど、あれが彼の投げ方なのでね」と即戦力リリーバーとして期待した。
WBC日本代表のロッテ・佐々木朗希投手が7日、石垣島キャンプで3度目のブルペン入り。直球にスライダー、フォークを交え計40球を投げ込んだ。
この日はウォーミングアップや、サインプレーの確認後、ブルペン入り。小池ブルペン捕手を座らせ直球、フォーク、スライダーを27球投じた後バッターを立たせ13球、計40球を投げ込んだ。4日にはキャンプ中のブルペンでは過去最多となる63球を投げており、9日にはライブBPが予定されている。
3月に行われる野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の主催者は7日までに、先発投手が降板後も指名打者(DH)で出場できる通称「大谷ルール」が適用されることなどを定めた大会ルールを正式発表した。
投球数制限は前回と同様に1次リーグは65球、準々決勝は80球、準決勝と決勝は95球。1死だけ取ってイニング途中に降板するワンポイント救援は禁止される。延長戦のタイブレークは10回からで、無死二塁で始まる。
ロッテの松川虎生捕手(19)が、村田修一打撃コーチ(42)から指導を受け、フリー打撃で50スイング中15本の安打性の当たりをマークした。
「ホームベースの前で打つことと、バットを球の下に入れることを教えてもらった」。
通算1865安打を放った師からのマンツーマン指導だ。これまではバットが上に流れていたため「球の上をたたいてゴロだったり、手先で引っかける打球が多かった」という。だが、教え通りにポイントを前にして、バットを平行に押し出す軌道に変えると「思ったよりボールが飛んでるイメージがあった」と効果を実感した。
フリー打撃を見守った福浦ヘッドコーチからは「“男松川”になれ」とゲキを飛ばされた。1年目の昨季は打率.173、0本塁打だったが、今季は「大事なところで結果を残せるように。打率2割5分を意識して、まずはホームランを1本」と決意。待望のプロ初アーチをかけて“男”になる。
ロッテは7日、2023年公式戦チケットの販売スケジュールを発表した。
全席指定席で、ダイナミックプライシング(価格変動制)にて、スペシャルシート抽選販売、ファンクラブ先行販売、Mチケット セブンイレブン先行販売、その他Mチケットオンライン及び各種プレガイドでの一般販売を予定。また、新設されたフロア4(2階席)3塁側ogawaキャンプBOXも3人席、4人席を一般販売する。
チケット販売スケジュールの詳細は以下の通り。
佐々木朗希投手が今キャンプ3度目のブルペン入り。小池ブルペン捕手を座らせてスライダーを多めに計40球を投げ込んだ。これまでは表情を崩さなかったが、この日は時折笑顔を見せる場面も。投球後には、小池ブルペン捕手とスライダーの曲がり方を確認した。
捕手の後ろからは吉井監督が終始見守った。キャンプイン後の初ブルペンでは、佐々木朗のスライダーを「まだプーです」と、改善点があることを示していたが、今回は「半分はプーでした。でも半分はうまくいっていたので、徐々にコツをつかんできたんじゃないかな」。調整の順調ぶりを評価した。
WBCの侍ジャパンに選出されている佐々木朗希投手が、今キャンプ3度目のブルペン入りした。
まずは小池ブルペン捕手を相手に立ち投げで21球。座らせてからはスライダー、フォークなどを交え40球を投げ込んだ。28球目からは打者を立たせた。
小池ブルペン捕手からは「いい真っ直ぐ!」「ナイスフォーク!」と声をかけられ、途中には笑顔を見せる場面もあった。
順調に調整が進むと、9日にはライブBPで打撃投手を務め、15日の練習試合・ヤクルト戦で登板する見込みだ。
ロッテの中村稔弥が7日、シート打撃に登板した。
「ツーシーム1球、スライダー1球」と、茶谷健太、植田将太から落ち球で空振りを奪った。スライダーに関しては「横に投げたいんですけど、縦に落ちました」とのこと。
中村の“ツーシーム”は近年試行錯誤していたが、昨年8月26日の楽天2軍戦でのブルペンで「田村さんに試合前のブルペンで受けてもらっているときに、『ツーシームの球速が速くなっているよな』と言われて、ちょっと握りを深くというか、縫い目の外にして持ってああいう落ち方をしました。タムさんの一言がなかったら今まで通り投げていたのかなと思います」(22年8月31日オンライン取材)と、同日の試合で内田靖人から空振りを奪ったツーシームは真ん中低めに落ちる素晴らしい落ちをした。
昨年8月31日の取材で「(楽天戦)1回しか投げていないので分からないですけど、感覚は良かったです」と、あの楽天2軍戦で投げたツーシームを継続して投げられるかが課題だった。1ヶ月後の9月28日の日本ハム戦では、野村佑希を131キロツーシームで空振り三振、続く杉谷拳士を3ボール2ストライクからの6球目、ストライクゾーンからボールゾーンに落ちる132キロのツーシームで空振り三振を奪った。
あれから約半年。ツーシームに関しては「田村さんに良い助言をもらってコース、高さをカウントによって意識するようになりました」と明かす。
昨年の取材で中村は1軍で結果を残すために「空振りを取れる変化球とカウントが取れる変化球をしっかり2種類いつでも投げれるというのが必要」だと感じていた。
この日投げたツーシームが空振りを取れる変化球、決め球で使っていきたい変化球なのだろうか−。「カーブ、ツーシームを決め球に使っていきたいと思っています」。また、カウント球ではスライダーを使っていきたい考えを持つ。
課題も残った。「ピッチングの時は結構イメージが良かったんですけど、ピッチングで1番良かったカーブが良くなかった。スライダーの方がバッターの反応は良かったかなと思います」。21年まで在籍していたハーマンさんから教わった“ハーマンカーブ”は納得いく球が投げられなかった。
マリーンズの左腕は現状、手薄なだけにチャンスはある。「今年はとにかくキャンプからオープン戦での結果を出して、何とか開幕1軍に入って、1軍でどんなところでも投げられるように」と意気込む。練習試合、オープン戦で結果を残して開幕1軍を掴みたい。
3年ぶりに古巣のロッテに復帰した澤村拓一投手。2020年はシーズン途中に加入して抜群のインパクトを残したが、今回も当時と同様の活躍が期待されるところ。メジャーをへて帰ってきた剛腕。日米における年度別の指標に基づく投球スタイルの変化や、ロッテ復帰に際して期待される役割を紹介していきたい。
まず年度別の指標について見ていきたい。
奪三振率と与四球率は、2017年の故障前後で大きく異なる傾向が出ている。プロ初年度の2011年は奪三振率が7.83とさほど高くなかった一方で、与四球率2.02、K/BB3.87と、優れた制球力を示していた。クローザーを務めた2015年と2016年も、奪三振率は7点台、与四球率は2〜3点台と、キャリア初期と同様の傾向が示されていた。しかし、2018年の復帰後は3年連続でイニング数を上回る奪三振数を記録し、大きく奪三振率が向上。その一方で、与四球率も大きく上昇しており、良くも悪くも力でねじ伏せる投球スタイルに変化していた。
ただし、ロッテ時代の奪三振率12.43は破格といえる水準で、WHIP0.95も新人時代を上回る、キャリア最高の数字を記録した。相次ぐ故障に伴うモデルチェンジが環境の変化をきっかけに奏功し、以前とは異なるスタイルながら安定感を取り戻したといえる。こうした投球スタイルの変化は、MLBでの投球内容にも関連することになる。
2021年は53イニングで61個の三振を奪い、奪三振率10.36。MLBでも、高い奪三振力は十二分に発揮されていた。その一方で、与四球率は5.43と日本時代以上に高くなっており、MLBでも日本時代と同様の傾向が示されていた。
与四球率の高さもあってK/BBは1.91と低い数値となり、WHIP1.45と走者を溜めるケースも多かった。それでも、奪三振率の高さもあって走者を出しても踏ん張り、防御率3.06と大崩れはせず。NPB以上に剛腕の多いMLBでも、澤村の速球とスプリットは通用していたことが分かる。
2022年は奪三振率7.11と前年から大きく低下した一方で、与四球率は前年に比べれば改善傾向にあった。結果的にK/BBはさらに低下したものの、WHIPは前年とほぼ同じ数値。日本球界復帰後は、本来の高い奪三振率を維持しつつ、与四球率の改善を図れるかがカギとなってきそうだ。
ロッテは2021年に強力なブルペンを原動力に優勝争いを繰り広げたが、2022年は勝ちパターンを担った国吉佑樹投手と佐々木千隼投手をはじめ、唐川侑己投手や東妻勇輔投手といったリリーフ陣の主軸が不振に陥った。また、抑えの益田直也投手も4年ぶりに防御率3点台となり、シーズン途中に勝ちパターンを外れるなど苦しいシーズンを送った。
59試合で30ホールドと大車輪の活躍を見せた東條大樹投手をはじめ、故障から復活した西野勇士投手と岩下大輝投手、安定感を飛躍的に増した小野郁投手らの活躍はあったが、チームは最後まで勝ちパターンを固定できなかった。前回在籍時に「8回の男」として抜群の存在感を示した澤村の復帰は、ブルペンを立て直す上でも大きな意義を持ちうる。
また、クローザーとして抜群の安定感を見せたロベルト・オスナ投手の退団に伴い、抑えの座は空席となっている。近年はセットアッパーとして活躍を見せている澤村は、巨人時代には抑えとして最多セーブに輝いた実績を持つ。それだけに、チーム内競争の結果次第では、守護神として9回のマウンドに立つ可能性も大いにあることだろう。
澤村の背番号は「54」。気迫あふれるピッチングで「魂のエース」と呼ばれ、今季から投手コーチとして古巣復帰を果たした黒木知宏氏が現役時代に使用していた、まさに代名詞ともいえる背番号だ。澤村も三振を奪った際に雄叫びを上げながらガッツポーズを見せるなど、気迫を前面に押し出した投球でファンの心をつかんでいた。受け継いだ背番号に相応しい豪快な投球を披露し、チームを再び上位争いに導けるか。
世界最高峰の舞台で存在感を見せ、満を持して幕張に帰ってきた剛腕。3年前と同じく「救世主」となれるだけの条件は整っている。
球界の盟主と言われる巨人は、今も全国の野球ファンの注目を集める。活躍すれば新聞一面で報じられるが、負けても戦犯として大きく取り扱われる。極限のプレッシャーがかかる中では思うように実力を発揮できない選手がいるのも確かだ。
近年、巨人を去ってから活躍した筆頭株は大田泰示外野手だろう。2008年ドラフト1位で巨人入り。背番号は松井秀喜が付けていた55番と鳴り物入りでの入団だった。しかし、巨人時代は鳴かず飛ばず。2016年オフに日本ハムへトレード移籍してからブレークした。移籍1年目の2017年から4年連続で100試合以上に出場。2019年には自己最多シーズン20本塁打、77打点を記録。2020年にはゴールデングラブ賞に輝いた。2021年オフにノンテンダーとなり、DeNAへ移籍したが、きっちり存在感を発揮している。
外国人選手でも活躍をした選手はいる。ホセ・ロペス内野手は、2012年オフにメジャー通算92本塁打の実績を引っさげて来日。2014年はチーム最多22本塁打を放ったが、自由契約に。2015年からDeNAでプレーした。2017年に171安打、105打点で最多安打、打点王のタイトルを獲得。同年の日本シリーズ進出に貢献した。守備でも巨人時代の2013年を含めて5度のゴールデングラブ賞を獲得。2020年オフに退団するまで優良助っ人として活躍を続けた。
2021年オフに戦力外通告を受けた古川侑利投手は合同トライアウトで新庄剛志監督に可能性を見出された。育成契約で日本ハム入りして、開幕前に支配下登録。自己最多の34試合登板、防御率4.08をマークした。コーチ陣でも3軍野手コーチだった石井琢朗氏、バッテリーコーチだった相川亮二氏が三浦大輔監督が率いるDeNAに入閣。昨季のクライマックスシリーズ進出は両コーチの貢献も大きかった。
今季、不気味なのが新たに“元巨人4人衆”が加わったロッテか。レッドソックスから3年ぶりNPB復帰した澤村拓一投手は2010年の巨人ドラフト1位。外国人選手ではC.C.メルセデス投手、グレゴリー・ポランコ外野手はいずれも実績豊富で、コーチでも1軍打撃兼内野守備コーチを務めていた村田修一氏が1軍打撃コーチとして加わった。
吉井理人監督が新たに就任。佐々木朗希投手ら主力選手も揃いつつあり、昨季5位から巻き返す可能性も十分だ。元G戦士の躍動も大いに期待したいところだ。